『新選組の遠景』
 2004.08.10.集英社刊、ハードカバー。著:野口武彦。

概要──
 伝説に彩られた新選組の真の姿を描き出す。

 「『新選組』伝説を斬る!」と云う帯の台詞とは裏腹に、沖田総司に関して小説からイメージを膨らませた妄想考察を全肯定で紹介したり、既存のイメージをなぞるような記事しか無いのは残念。但し、新選組に依る内山彦次郎暗殺を否定するくだりはなかなか面白い。元来小役人程度の認識しかされなかった内山を、当時の資料から「大坂きってのやり手官僚」として描き出し、到底新選組の手には余る大物として再認識する辺りの手際は、流石『大江戸曲者伝』の作者だけの事は有ると感心する事しきりでした。


【総評】:他の新選組読本では見掛けないような資料まで動員して新選組の素顔を活写してくれているので、面白い事は面白いんだけど、斬新な視点で通俗的な史観を覆すいつもの「野口節」を期待すると、ちょっと肩透かしに感じるかも。