『我餓狼と化す』
 2006.07.25.実業之日本社刊、ハードカバー。著:東郷隆。

概要──
 赤報隊の先鋒隊長で、的確な指示で最後を飾った金原忠蔵の活躍を描いた「雪中の死」、遺族に依る近藤勇の首級・遺体奪還作戦の顛末を描いた衝撃作「勇の首」、北辰一刀流の高弟で有りながら、水戸天狗党に味方してお尋ね者となり、新徴組と激闘の末討たれた真田範之助を描いた「屏風の陰」、衝鋒隊隊長古屋佐久左衛門の信州・越後での活躍を描いた「百戦に弛まず」・「我餓狼と化す」、徳川義軍府を設置して房総で短いが激しい戦いを繰り広げた撒兵隊と江原鋳三郎の戦いを描いた「下総市川宿の戦い」等を収録。

 帯には「幕末、男の死に様/天狗党から戊辰戦争まで。我に利あらずと知りつつも、最後まで屈服しなかった侍たちの物語」と書いて有るので、固い内容を想像しがちですが、実際には東郷氏の大好きな幕末史のミニマムな戦いが臨場感たっぷりに描かれており、どっちかとゆーとマニアック戦闘列伝と云った方が良いような気がします(まぁ、それじゃ売れないから鎮魂史観っぽい煽りを付けたんでしょうけどw)。つーか、伊庭八郎の手首と雖井蛙流を繋ぐなんて真面目な鎮魂史観史家は考えないって(^^;
 掲載されている内容はどれも興味深かったのですが、中でも特に「新徴組の活躍」とゆーマニアックなネタを扱った「屏風の陰」や、林忠崇や伊庭・人見らの活躍の陰に埋もれて殆ど顧みられない房総戦争を題材にした「下総市川宿の戦い」なんかは丁度重点的に調べていた箇所だったので、大いに参考になりました。


【総評】:マニアック過ぎて普通の歴史ファンを置いてけぼりにしてる気がしますが、個人的には大いに「買い」の一冊です。