柳生新陰流 (Yagyu^-shinkage-ryu^)

戦国時代後期、中条流の剣客で名手と謳われた柳生新左衛門宗厳、即ち石舟斎が開いた流派。
上泉秀綱は上野国長野氏の家臣で一城を預かる者であったが、主家が武田信玄によって滅ぼされると浪人した(その際、信玄より「信」の一字を拝領し、信綱と改めた。これは、放浪を許すが他家にも仕えるなよ、と云う牽制らしい)。そして愛州日向守移香斎が開いた陰流を改良し、新しい陰流、すなわち「新陰流」を開いた。彼はまた初めて竹刀を発明した人物であり、彼の創った初期の竹刀は嚢竹刀と呼ばれ、諸流派の手本となった。彼は諸国修行の旅の中で多くの門弟を取り、彼らは多くの新しい流派を開いた。大和の豪族柳生氏も又その一つであり、戦国後期の当主柳生宗厳は初め中条流を習ったが後に新陰流流祖上泉伊勢守信綱に新陰流を学び、有名な「無刀取り」の公案を出され、それを解いて免許皆伝を受けた。所謂「柳生新陰流」の誕生である。
柳生氏は安土桃山時代に入って没落したが、宗厳の子但馬守宗矩は徳川幕府に仕えて将軍秀忠及び家光の指南役として1万2千5百石の大名となった。但し、宗厳は己の出世の為に柳生新陰流を利用した宗矩を嫌い、柳生新陰流の正伝は宗矩の兄勝厳の子兵庫助に伝えられている。兵庫助は尾張徳川家に召し抱えられ、尾張柳生流を開いた。
江戸柳生は徳川家の御指南役として代々剣術を伝えたが、竹刀稽古を行いつつ、将軍や諸大名相手の稽古では巧みに勝ちを譲る等非難されるべき点も多かった。特に、木刀を用いた「組太刀」稽古を重視する小野派一刀流とはどちらが実戦的であるかに付いてしばしば論争が行われた。大抵世評は一刀流に軍配を挙げるものなのだが、幕末に至って多くの使い手を出したのは竹刀稽古を重視した流派であることから、実際には用意に結論は出せないものと思われる。
柳生新陰流は力で相手を圧倒して倒す「殺人剣」に対して、心の位を以って相手を制して戦わせない「活人剣」を掲げ、心の修行として禅を行い、技よりも心を重視し、「剣禅一致」を唱えた。特に将軍に対しては王者の心得としてこれを説き、将軍の相談役としての地位を固めた。しかし、その技は華麗で種類が多く、剛直な小野派一刀流とは好対照である。
基本の構えは「車(しゃ)」と呼ばれる脇構えで左足を引き右足と一列にした足運びが特徴である。尤も、柳生流は「構え」と言う言葉を嫌ったので、「基本の構え」と云う表現もおかしいのだが……。曰く、構えとは一種固定した形式であり、臨機応変に欠けるからである、と。その為、特に構えの事を「位」と言い、何も構えない事を「無形の位」と言って奥義とした。尾張柳生はこれに加え古流で初めて上段の構えを編み出し、平服での戦闘に有利な技を創って行ったので、実力に於いては江戸柳生よりも尾張柳生の方が上であるとみられている。
この様に江戸・尾張柳生はそれぞれ対照的な発展を遂げたが、幕末に至ってはどちらも心法偏重の姿勢と将軍家・御三家御指南役という名声に驕る事によって、すっかり形骸化してしまっていた。
なお江戸柳生家については、宗矩の子飛騨守宗冬に継承され、宗冬の死後衰退した。宗冬は若い頃には剣に興味を示さなかったが、ぼうふらを見て極意を得た一廉の使い手。其の長男大膳宗春も父に匹敵する剣士であったが、二十七歳で病死。宗冬の後は宗冬の次男である対馬守宗在が継いだ。宗在は決して凡庸な剣士ではなかったが、柳生の剣を無難に継承するのみで発展に務めなかった。宗在の死後、甥の備前守俊方が継いだが、この頃より天下の泰平は誰の目にも明らかとなり、代々の将軍家が柳生流に誓詞を出して入門すると云う習慣も途絶えてしまい、柳生流は式典の折りに剣技を披露するのみの剣と成ってしまった。更に、俊方に子が無く、松平越中守定重が養子として柳生家を継いだので、江戸柳生に於いては其の血筋も断たれてしまった。
柳生流は徳川将軍家、尾張徳川家の他に柳生権右衛門によって仙台藩にも広められ、更に大和狭川の士狭川助直が新陰流狭川派を開いて広めるに至って新陰流は仙台藩主伊達氏の御流儀となった。新陰流自体の分派には柳生新陰流の他にも上泉信綱次男主水憲元の会津一刀流、信綱の直弟子である疋田文五郎の疋田陰流(槍術)、同じく直弟子神後伊豆守宗治の神後流、同じく直弟子松田織部之助清栄の松田派新陰流(江戸に出て幕屋新陰流。実戦的)、羽賀井一心斎の羽賀井流、野中新蔵成常の新神陰一円流、また多少毛色の変わった所では柳生石舟斎の弟子小栗仁右衛門を開祖とし、坂本竜馬も習った総合武術の小栗流等がある。
柳生流の門弟は主に幕臣だが、諸藩にも分布しているので、諸藩上士にも人気がある。柳生流の剣士は、皆履刀の鍔元に紫縮緬の布切れを付けていた。これは、柳生流の剣士は人と斬り合いに成っても必ず勝つので、人を斬った血を拭うために予め布を持っているのだといわれている。
幕末に於ける主な門弟には、新選組平同士で尾張柳生流免許皆伝者佐野七五三之助、寺田屋で死亡した薩摩藩士有馬新七、奇兵隊総督高杉晋作等がいる。また余談になるが中村主水は新陰流分派の御嵩新陰流の免許皆伝である。
なお、「柳生新影流」は福岡藩に伝わった分家の流派である。
本来柳生家に伝わる剣術は「新陰流」であり、「柳生」が冠されるのは弟子筋の流派なのだが、TRPG『維新の嵐』では、歴史に触れる事の少ないプレイヤーにもイメージし易いように、柳生家に伝わった新陰流を「柳生新陰流」と呼称する事とする。
〜門人(1レベル)〜
| 【車】 (Sya) | |
| 種類: | 構え |
| 効果: | 防御値+1、反撃を併用する場合には更に防御値に+1。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 柳生流では最初にこの技を修得しなければならない。右肩を相手の拳の高さに合わせ、刀を右脇に引き左肘を伸ばした脇構えを取り、左足を引き右足と一列にした足運びを行い、前に出した右足に重点を置いて左足を伸ばす。 また同時に「偸眼(ちゅうがん)」と云う技を用いる。これは一ヶ所に視点を定めず、「ちゃくちゃくと」相手を見る事によってこちらの意図を掴ませない技である。 |
| 【一刀両段】 (Itto^-ryo^dan) | |
| 種類: | 反撃 |
| 効果: | 相手の攻撃が命中して後、反撃可能。自分が受けるダメージ判定に於いてサイコロ一つ減らす事ができ、相手に対する命中値+1。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 柳生流初学の太刀「三学円之太刀」の一つ。下段八相に構え、左肩を相手に差し向けて見せ、相手が肩を斬る時に合わせて相手に切り掛かれば、体の捻りにつれて肩への攻撃は外れ、相手の腕を斬る事が出来る。 |
| 【斬釘截鉄】 (Zante^i-Settetsu) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | 命中値−1、ダメージ+1D6 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 柳生流初学の太刀「三学円之太刀」の一つ。中段から突きを仕掛ける相手の刀を身を沈めてかわし、左側に回りこんで右小手を切る技。 |
| 【半開半向】 (Hankai-hanko^) | |
| 種類: | 反撃 |
| 効果: | 相手の攻撃を「受け」もしくは「回避」した後、命中値+1、ダメージ+1D6で反撃可能。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 柳生流初学の太刀「三学円之太刀」の一つ。中段の構えで相手の攻撃を誘い、其れををかわし、すれ違いざまに胴を斬る技。 |
〜切紙(2レベル)〜
| 【霞】 (Kasumi) | |
| 種類: | 構え |
| 効果: | 命中値+1。此の構えを取ったフェイズ、他の構えから変更したフェイズには自動的に剣技「花車」使用可能。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 左足をやや長めに踏み出し、刀身を頭の右上に高く直立させる。此処から、剣技【花車】に繋がる。 |
| 【捷径】 (Syo^kei) | |
| 種類: | 特殊 |
| 効果: | 狭い所での戦闘に於て、不利な修正を受けない。全ての技と併用可能。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 下段八相から刀を摺り上げ、相手が避ける為に後退した所を、上段から切りつける技。 |
| 【小詰】 (Kodume) | |
| 種類: | 特殊 |
| 効果: | 鍔競り合いになった時のみ使用可能。鍔競り合いは自動的に成功する。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 鍔競り合いから刀の峰に手を添えて相手の刀を越えて押し切る技。 |
〜初伝目録(3レベル)〜
| 【大詰】 (O^dume) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | 剣技レベルm跳躍して攻撃可能。ダメージ+1D6。攻撃後、剣技レベル跳躍可能。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 跳躍して攻撃する技。 |
| 【和卜】 (Kaboku) | |
| 種類: | 防御 |
| 効果: | 防御値+1 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 刀を下段に構えて、相手が攻撃する瞬間、刀を摺り上げて相手の刀に打ち合せ、相手の攻撃の意図を阻む技。 |
| 【神明剣】 (Shinme^-ken) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | 命中すれば、相手を転倒させる。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 相手と鍔競り合いを行い、その隙に足払いで転ばせる技。 |
〜目録(4レベル)〜
| 【必勝】 (Hissyo^) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | ダメージ+1D6 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 秘中の秘と伝えられる「九箇之太刀(くかのたち)」の一つ。 右上段の肩に剣を構え、左足を前に出して構える。刀と共に身を沈め、切っ先の下がるのに従って、相手の刀の下に入る。一見危険に見えるが、実は刀の下は相手の死角であり、攻撃が困難なのだ。そして下から胴を切り上げる。「必勝」の必は秘に通じ、その太刀筋が見えない事からその名が付いた。 |
| 【添截乱截】 (Tensetsu-ransetsu) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | 2回攻撃 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 右八相に構えて、上段から相手を切り下げ、再び片手で切上げ、更に上段から片手で突く技。 |
| 【八重垣】 (Yaegaki) | |
| 種類: | 防御 |
| 効果: | 「受け」+2、「受け」を1ターンに何回でも使用可能。1ターンの間の全ての「受け」使用時に有効。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 多人数に包囲されて切り込まれた際、相手の動きを瞬時に見切って防御する技。そもそも八方を包囲されても、刀の間合いを考えれば全く同時に斬りかかったら同士討ちは必至であるから、どうしても攻撃の方向は前後左右の四方向に限られてしまう。また、当然ながら全く同時に動く事は出来ないので、どうしても時間差が生じてしまうのもやむを得ない。こうして見切っていけば、実際に斬り合うのは一度に独りで十分である……と言う技。 |
| 【村雲】 (Murakumo) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | 命中値+2 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 上段から切り付け、相手が受けたらその反動を利用して刀を下げながら一歩後退して、下段から切り上げる技。 |
〜本目録(5レベル)〜
| 【雷刀】 (Raito^) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | ダメージ+1D6、防御値−1。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 尾張柳生流が創始した古流で初めての「上段の構え」。自ずからの位の威と、本来備わっている勢いで先を取る。特に、技の伸びに優れている。 従来、鎧を纏って戦う事を前提としていた剣術諸流には、上段の構えは存在しなかった。何しろ何十sとある鎧を着て刀を上段に振り上げれば、転倒してしまうのは目に見えているのだから当然である。尾張柳生はいち早くこの事を改め、平服での戦闘に有利な技を創っていった。 |
| 【滝流】 (Taki-nagare) | |
| 種類: | 反撃居合 |
| 効果: | 正座している時に使用。相手の攻撃を「回避」した後、命中値+3、ダメージ+1D6で反撃可能。相手は「受け」不可能。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 正座している時に、頭上より敵が斬ってきたなら、右膝を引いて居合の構えを取って切っ先高に抜き上げて、身を右方に転じつつ相手の肩を袈裟懸けに切る技。其の残心までを、滝の流れに例えて「滝流」と称する。柳生宗矩の弟松吟庵の創作。 |
| 【山月】 (Sangetsu) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | 命中値に−2の修正を受けて、攻撃判定を行い、成功すれば相手の刀を奪う事が出来る。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 相手の刀を目前で拝み取り、我が物とする技。秘訣は先ず間合いを良く計ること、次いで相手と同じ目線に立たず、少し低めに構えること。相手の拳を体の上に置くことが肝要らしい。 |
| 【浮舟】 (Ukihune) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | 命中値+2 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 刀の切っ先を相手に突き付け、相手の反応を呼んでその乱れに乗ずる技。其の切っ先は、「浮舟」の何名に相応しく前後左右自在に漂って相手を離さないが、其の裡にはあらゆる変化に対応する鋭気を秘めている。 |
〜免許皆伝(6レベル)〜
| 【花車】 (Kasya) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | 3回攻撃 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 「霞」の構えで踏み出した左足から連続して斬りかかる技。執拗なまでに攻撃的な技。 |
| 【活人剣】 (Katsuzin-ken) | |
| 種類: | 特殊 |
| 効果: | 相手を威圧する。自分より剣技レベルが4以上低い相手1体は逃亡するか、それが不可能ならば降参する。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 相手を殺さずに、我が身に降り掛かる危険を避ける為、相手を威圧する技。 |
| 【天狗抄】 (Tengu-syo^) | |
| 種類: | 防御 |
| 効果: | 防御値+3 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 柳生流にはあらゆる流派の技に対する防ぎ方を教えている。これらには各々、高林坊、太郎房、智羅天等の天狗の名前が付けられ、それらを臨機応変に用いて相手を防ぐのが天狗抄である。但しこれらの防ぎの技が無敵を誇ったのは、遥か昔の事であり、柳生流が研究を怠っている間に天下には様々な新流派が成立し、必ずしも完全な防御とは言えなくなっている。 |
〜指南免許(7レベル)〜
| 【無形の位】 (Mugyo^-no-kurai) | |
| 種類: | 反撃 |
| 効果: | 相手の攻撃を防御した後、命中値+2、ダメージ+2D6で反撃可能。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 刀をだらりと提げて全く構えを取らず、相手が打って来たらその力を利用して斬り返す技。 |
| 【老剣】 (Oi-no-ken) | |
| 種類: | 攻撃 |
| 効果: | 命中値+1、ダメージ+1D6 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 刃を地に突き立て、左手で鍔元を握り、右手で柄頭を持ち、その上に頭を置くという老人の様な構えを取る事からこの名が付いた。そののんきそうな構えとは裏腹に、相手が近付いて来たら、下段から勢いを付けた刀が飛び出し、相手を切り上げる恐ろしい技。 |
〜奥義(8レベル)〜
| 【転】 (Marobashi) | |
| 種類: | 反撃 |
| 効果: | 相手の攻撃を防御した後、攻撃判定に成功すれば、相手の攻撃をそのまま相手に返す事が出来る。即ち相手が本来自分に与える筈であったダメージを、相手が受ける。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 柳生流では、この【転】か下記の【突っ立たる身の位】かどちらか片方を選択して習得する。 江戸柳生流奥義。刀をだらりと提げて全く構えを取らず、相手が攻撃して来たら、円を描くように動いて相手の攻撃を受け流し、転び(まろび)ながら相手にその攻撃を返す技。 |
| 【直立たる身の位】 (Tsuttattaru-mi-no-kurai) | |
| 種類: | 反撃 |
| 効果: | 相手の攻撃によってダメージを受けた後、命中修正+剣技レベル1/2、ダメージ+3D6で反撃可能。 |
| 使用武器: | 刀、脇差 |
| 説明: | 柳生流では、この【直立たる身の位】か上記の【転】かどちらか片方を選択して習得する。 尾張柳生流奥義。介者兵法(甲冑を着て戦う事を前提とした古い剣術)が、重い鎧を付けている為に腰を落として構える「沈なる身の位」に対して、刀をだらりと提げて全く構えを取らず、相手が攻撃してきたら相打ちを覚悟で無念無想の裡に斬りつける技。「転」が常に心を動かして一定の場所に留まらないのに対して、此の技は魯の如くただただぼんやりと突っ立つのみである。自然に直立した姿勢は、隙が大きく見えるが、鎧を着ない戦闘では軽快に動くので有利である。 |