次のページ目次へトップへ前のページ

薩摩藩
 薩摩藩は名君島津斉彬の指揮下に海軍の建設を始め、安政元(1854)年3月には日本最初の洋式帆船を建造し、更に12月には砲鑑昇平を建造して幕府に献上、以後4隻の帆船を建造した。しかし、斉彬の死後はこれらの海軍建設事業は中止された。しかし、薩英戦争後は外国艦隊の脅威を実感し、その直後から積極的にイ子1リスから艦船を購入している。また、神戸の海軍操練所にも多くの研修生を送って人材の育成にも力を注いだ。最終的には、諸藩の内で最も強力な海軍を持つ藩となったが、それでも幕府海軍には及ばなかった。但し、艦船の運用についてはかなりの物があり、軍用から商用、特に国元で行政を握る大久保一蔵と京都で外交を獲る西郷吉之助との間で伝令を務め、幕末風雲の中で薩摩藩が活躍する為に貢献した。
 なお、薩摩の船は帆の上部七割を白に、下部三割を黒で染める「端黒(つまぐろ)」と云う独特の染色を施しているので、非常に目立つ。

安行丸
雲行丸
永平丸
開聞丸
春日
乾行
胡蝶丸
翔凰丸
青鷹丸
竜田丸
天佑丸
該当無し
や・ら・わ    
白凰丸
平運丸
豊瑞丸
万年丸 該当無し    

 

安行丸
所属: 薩摩  
艦長: 大山 彦介
艦種: 輸送船
材質: 鉄製
機関: 蒸気内車
マスト: 3
備砲:  
定員:  
全長:  
全幅:  
排水量: 160t
出力:  
速力:  
解説:

 1863年9月購入。原名「サーラ」。

▲TOPへ

 

雲行丸
所属: 薩摩 雲行丸
艦長:  
艦種: スクーナー級輸送船
材質: 木製
機関: 蒸気外輪
マスト: 1
備砲: 0
定員:  
全長: 16.36m
全幅: 3.33m
排水量: 50t弱
出力:  
速力:  
解説:

 薩摩の誇る名君島津斉彬が、入手した洋書「水蒸船説略」を教科書に、嘉永四(1851)年から安政二(1855)年の四年を掛けて全国に先駆けて作成させた国産蒸気船。江戸藩邸で機関部が建造され、国元からは早船の一種である越渡船が船体として回送され、両者を併せて安政二年八月二十三日に進水。墨田川で公開実験を行い、巧みな進退を見せて江戸っ子から拍手喝采を浴びた。
 以後、江戸品川沖に停泊する外国軍艦への貴賓の送迎や、藩主の御座船として活躍した。しかし、この後薩摩藩は艦船を自作せず外国から購入するように方針を変え、雲行丸も明治初年に廃艦となった。その後、機関は東京築地の海軍兵学校に教育参考品として寄贈された。
 同艦は船としては失敗作だが、全く外国人の手を借りず全く独力で作り上げた点が、当時の薩摩藩の技術力を示しており、特筆に値する。 

▲TOPへ

 

永平丸
所属: 薩摩  
艦長:  
艦種: 輸送船
材質: 鉄製 
機関: 蒸気内車
マスト:  
備砲:  
定員:  
全長:  
全幅:  
排水量: 447t
出力: 300馬力
速力:  
解説:

 1862年8月英国より13万$で購入。原名「フィリークロス」。

▲TOPへ

 

開聞丸
所属: 薩摩  
艦長:  
艦種: 輸送船
材質: 鉄製
機関: 蒸気内車
マスト:  
備砲:  
定員:  
全長:  
全幅:  
排水量: 684t
出力:  
速力:  
解説:

 原名「フィオラ」。1865年7月13 日イギリスより9万5千$で購入。

▲TOPへ

 

春日
所属: 薩摩 春日
艦長: 赤塚源六
(副長:伊東次右衛門
艦種: 仮装軍艦
材質: 木製
機関: 蒸気外輪
マスト: 3
備砲: 14門

100斤旋回砲 1門
40斤砲 1門
12斤砲 1門
30斤砲 1門
8cmクルップ長身砲 4門
6斤アームストロング砲
40斤施条砲 6門

定員: 134名(士官12名 下士官34名 水夫96名)
全長: 73m
全幅: 9m
排水量: 1015t
出力: 1200馬力
速力: 16.9ノット
解説:

 元は1863年にイギリス海軍が英国カウス港で清国向けに建造した通報艦「キャンスー(「江蘇(省)」の英語読み)」。清国が受け取りを拒否した為、英国海軍中国艦隊の通報艦として長崎港に係留されていた。慶応三(1867)年11月3日、グラバー商会の仲介を経て薩摩藩兵賦役兼船奉行の松方正義が急遽購入した。
 日本最初の直立船首を持ち、長大で優美な船型を誇る名艦。本来は通報艦だがその速力と大きさから砲を備え付けて、快速の軍艦として使用した。艦長赤塚源六は経験豊富な海将で、また乗組員も勇敢であった。また、此の中に後の海軍元帥東郷平八郎がいる事でも有名である。
 その戦歴はなかなか華麗で、日本最初の近代海戦「阿波沖海戦」に参加、最新鋭の「開陽」を相手に善戦した。
 箱館戦争においては「海軍先鋒」に任ぜられ、宮古湾に進出。此処で新政府艦隊は榎本艦隊所属の軍艦「回天」の襲撃を受ける。軍艦「甲鉄」を得て圧倒的に優勢な新政府艦隊は油断しきっていて、乗組員を上陸・宿泊させて居たが、軍規厳正な春日のみは宿泊を許さず、奇襲に備えた。その為榎本艦隊の襲撃に対しても迅速に対応し、甲鉄に横付けされた回天に対して小銃を猛射して撃退した。五稜郭攻防戦に際しては、艦隊を先導して主に陸上砲撃に活躍した。
 ネーミングの由来は、朝鮮征伐の際に出水領主島津忠永が春日山の樹で大船を作り、「春日丸」と名付けた事に依る。以来、薩摩藩では大船と云えば「春日丸」と名付けるのが通例とされており、この船に賭けた薩摩藩の期待の大きさが窺われると云えよう。

▲TOPへ

 

乾行
所属: 薩摩 乾行
艦長: 北郷主水
艦種: パーク級砲艦
材質: 木製
機関: 蒸気内車
マスト: 3
備砲: 6門

15cm後装旋回砲
18斤砲 2門
野砲 2門

定員: 144名
全長:  
全幅:  
排水量: 523t
出力: 130馬力
速力: 16ノット
解説:
 1859年イギリス・リバプールで大改装、1864年7月23日に長崎に於て英商グラバーより7万5千$で購人。原名はストーク号だが、改装前の名前はビーグルと言う。そう、御存知ダーウィンが南洋探検に行った際に使用したあの船である。
 進化論の膝闇に大きく寄与したこの船ではあるが、日本では薩摩藩が持つ唯一の正規の軍艦として北越戦線に進出したのに、機関の故障で思いの他活躍できないと言う情けない経歴を持ってしまった。
 なお、「乾行」とは『易経』に言う所の「渉大川乾行也(大川を渉るや乾行なり)」から来ている。乾は「つとむ、すこやか」と訓じ、「乾行」は正道に従ってすこやかに務め行う事を言う。

▲TOPへ

 

胡蝶丸
所属: 薩摩  
艦長:  
艦種: 輸送船
材質: 鉄製
機関: 蒸気外輪
マスト:  
備砲:  
定員:  
全長: 60m
全幅: 8m
排水量: 146t(274tとも)
出力: 150馬力
速力:  
解説:

 原名「フーキン(福健)」。1862年建造。元治元(1864)年2月1日に長崎に於てイギリスより7万5千ドルで購入。以後、大抵大坂天保山に駐留し、京都から薩摩国元への交通を行った。後、オランダ商人ボードウィンに売却され、1866年土佐藩が此を7万$で購入した……らしい。

▲TOPへ

 

翔凰丸
所属: 薩摩  
艦長: 白石弥左衛門
(副長:児玉弥右衛門/水夫長:土屋伝次郎)
艦種: 仮装軍艦
材質: 鉄骨木皮
機関: 蒸気内車
マスト:  
備砲: 4門(陸戦用黄鋼4斤半砲)
定員:  
全長:  
全幅:  
排水量: 461t 
出力:  
速力: 7〜8ノット
解説:
 原名ルーチェス。1863年ロンドンで建造。元治元(1864)年4月8日にイギリスより12万$で購入。以後、大抵江戸品川沖に駐留し、薩摩藩邸の防衛にあたった。薩摩藩邸焼き討ち事件後、薩摩藩士を積載して江戸を脱出。途中幕艦回天の追撃を受け二十八発の命中弾を受け、多数の戦死者を出した。しかし、翔鳳丸が死を決して回天に突撃すると、回天は慌てて回避行動を取って通路を空けたので、振り切って無事に兵庫に到着した。
 兵庫沖では阿波沖海戦に参加し、艦尾に被弾して火災を引き起こした。翔凰丸は開陽の追撃を逃れるべく阿波の由岐港に入ろうとしたが、入り口で座礁してしまった。但し、距離を十分に稼いだので乗員の薩摩藩士は皆阿波徳島藩に逃れ、幕府艦隊の追跡を振り切った。輸送船としての使命を全うした、正しく鳳凰の名に相応しい船であった。
 なお、乗組員は阿波藩により陸路と海路で土佐藩まで送り届けられた。この好意に感謝した乗組員達は擱坐した翔鳳丸を自爆させ、後に幕府が阿波藩を咎め立て出来ない様に証拠を隠滅した。

▲TOPへ

 

青鷹丸
所属: 薩摩  
艦長:  
艦種: 輸送船
材質: 鉄製 
機関: 蒸気
マスト:  
備砲:  
定員:  
全長:  
全幅:  
排水量: 492t
出力:  
速力:  
解説:

 1863年4月購入。薩英戦争でイギリス艦隊に依って事補・焼却される。

▲TOPへ

 

竜田丸
所属: 薩摩  
艦長:  
艦種: バーク級輸送船
材質: 木製
機関: 帆走
マスト:  
備砲:  
定員:  
全長: 31.5m
全幅: 5.4m
排水量: 383t
出力:  
速力:  
解説:

1855年アメリカ・ボストン製。原名「ハントルス」。1865年6月に1万9千$で購入。

▲TOPへ

 

天佑丸
所属: 薩摩  
艦長:  
艦種: 輸送船
材質: 鉄製
機関: 蒸気内車
マスト:  
備砲:  
定員:  
全長:  
全幅:  
排水量: 746t
出力:  
速力:  
解説:

万延元年11月英国より購入。原名もそのものズバリ「イングランド」。薩英戦争でイギリス艦隊に依って掌補・焼却される。

▲TOPへ

 

白凰丸
所属: 薩摩  
艦長:  
艦種: 輸送船
材質: 鉄製
機関: 蒸気内車
マスト:  
備砲:  
定員:  
全長:  
全幅:  
排水量: 532t
出力:  
速力:  
解説:

1863年3月購入。原名「コンテスト」。薩英戦争でイギリス艦隊に依って事補・焼却される。

▲TOPへ

 

平運丸
所属: 薩摩  
艦長: 得熊佐平次
艦種: ブリッグ級輸送船
材質: 鉄製
機関: 蒸気内車
マスト:  
備砲:  
定員:  
全長: 60m
全幅: 10m
排水量: 750t
出力: 150馬力
速力: 5ノット(改修後12ノット)
解説:

 原名「スコットランド」。元治元(1864)年2月1日にイギリスより長崎に於て13万ドルで購入。
 機関が劣悪で速力が出ないので、慶応年間に摂津で12万両を掛けて機関を改装した。此によって快速を得、その快速を利用して飛脚船として平常より薩摩−大坂間を往復した。特に鳥羽伏見の戦い前夜に於ては、大量の薩摩兵を輸送した。

▲TOPへ

 

豊端丸
所属: 薩摩  
艦長:  
艦種: 輸送船
材質: 鉄製
機関: 蒸気内車
マスト:  
備砲:  
定員:  
全長: 62m
全幅: 7.2m
排水量: 300t
出力: 105馬力
速力:  
解説:

 原名「ナンバーワン」。1864年10月17日長崎に於てイギリスより購入。
 戊辰戦争に際しては、「孟春」らと共に大坂湾から陸兵100を積載して江戸に急行、治安の維持に務めた。

▲TOPへ

 

万年丸
所属: 薩摩→広島  
艦長:  
艦種: 仮装事艦
材質: 鉄製
機関: 蒸気内車
マスト:  
備砲: 4門
定員:  
全長: 50.9m
全幅: 6.3m
排水量: 280t 
出力: 80馬力
速力:  
解説:

 1864年にイギリスのラナルクシルで建造。原名キンリン。1865年9月17日7万5千$で購入。本来の用途が輸送船ではあるものの、新造艦で性能が良好だったので武装して仮装軍艦として使用された。翌年5月安芸広島藩に売却。
 鳥羽伏見の戦いの前夜、下関から出発した長州艦隊(蒸気船鞠府丸・丙寅丸・満殊丸、帆船癸亥丸丙辰丸庚申丸乙丑丸)を先導して摂津打出村に陸兵1200を上陸させた。戊辰戦争においては、官軍参謀山田市之允を艦隊司令とする軍艦摂津第一丁卯(長州)、輸送船千別丸(柳川)・大鵬丸(福岡)・錫懐丸(加賀)等六隻と共に越後に出動。軍需物資の輸送に従事した。その後豊安丸と共に北海道に出撃を命ぜられたが、その途中越後国柏崎沖で暴風雨に遭って沈没した。

▲TOPへ


次のページ目次へトップへ前のページ