| tach雑記帳 | ||
「ヨコハマ買い出し紀行」雑感−或いは母胎回帰の風景画− |
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| by tach |
三崎口駅のプラットホームの端に立って、線路の延びて行く先を見やった。季節はおそらく秋だったような気がする。地面は緩やかに大きく起伏し、そのままなだらかな山影へと続いて行く。その上には穏やかな水色の空が広がり、うららかな陽射しがまぶしいほどにたっぷりと降り注いで来る。
冬のある日、この三崎口から葉山まで歩いたことがある。
のんびり歩いて五時間ほどの道のりだ。冬でも風は無く空はうららかに晴れ上がっていた。途中のコンビニで買った肉まんをパクついたり、茶を飲んだりしながら、ひとけのない田舎道をタラタラと歩いて行くと、やがて、陸上自衛隊武山駐屯地の塀が延々と一キロ以上にも渡って続いているのに出くわして呆れ返ることになる。第一巻の十八ページで主人公が広げる地図には描かれているのはこの一帯だ。我々が作品の中で初めて目にする水没した風景の下にはこの自衛隊の駐屯地が沈んでいたのだ。
驚いたのは秋谷の海岸にたどり着いたときのことだった。
突然目の前にきらきら輝く海が広がる。光の洪水だ。
国道134号線はここから長者ガ崎まで海際の崖の縁を走る。崖の下には狭い石だらけの浜辺があって白い波が打ち寄せていた。
僕は、海の向こうに傾いて行く太陽を眺めながら、殆ど恍惚として歩き続けた。
よろしかったら
一緒にうたってくださいね
暗くなるまでには
まだしばらくあります
いちばんおいしい時間です
| 題名● 著者● 発行● 初版● 初出● |
ヨコハマ買い出し紀行 芦名野ひとし 講談社 第1巻1995.08.23、第2巻1996.02.23、第3巻1996.07.23、 第4巻1997.03.21、第5巻1998.02.23、以下続刊… 月刊「アフタヌーン」1994年6月号より連載中 |
1998.10.03新規作成
1998.10.29部分改訂
2005.12.04デザイン変更
2005.12.05ブログへ再掲載(←こちらの方が読みやすい?)