はじめに (SCENE1へのコメント)
手際の良い登場人物紹介と山田君の同性愛告白からなる序章。
都合のいいときに都合のいい人物が唐突に出現しがちな旧作とは違って、この作品では主要登場人物の殆ど全てがこの第一章で予め紹介される。
- 小山ルミちん
- コンパクトに向かいマスカラを塗りながら最初に登場する。援助交際で年上の男達からモノや金をせしめるのをもっぱらにしている。いわゆるフェルモン系の女(を「演じている」と言うべきか?)。
- 井上よっちゃん
- 登場人物の中で一番普通の女の子。タカハシ君という虚言癖のあるボーイフレンドがいる。タカハシ君の言うことは何でも信じて言い広めるので校内の流言飛語の発生源となっている。
- 若草ハルナ
- 物語の語り手。ややボーイッシュで、ドライ。何処か都会の乾いて埃っぽい空気の中で育ってきた雰囲気がある。至って普通の明朗な少女を演じているが、何故か、山田君と吉川こずえという変態の両巨頭には好意を持たれる。
ルミちん、よっちん、ハルナの三人は同じクラスでつるんでいる仲間だ。
彼女たちの通う高校は東京の下町。隅田川のほとりで、校舎の荒れ具合からすれば公立高校だろう。
- 山田一郎
- 彼女たちと同じクラスにいるオシャレでキレイな顔をした男の子。女子の間では隠れた人気があるが、男子からは虐めの標的とされている。
ハルナのあこがれの対象。異性としてよりも、夢のようにキレイな生き物として距離を置いてウットリと眺めている。
この山田君から同性愛を告白されハルナが衝撃を受けるところから物語は始まる。
- 観音崎
- 率先して山田君を虐めているクラスのガキ大将タイプ。一見男らしいかっこいい風貌だが、実は依存心が強い。前の年の夏にハルナと関係を持ったが、最近、ハルナが冷たくなってきているので焦っている。実はルミちんとも裏で隠れて肉体関係を持っている。
- 田島カンナ
- 別のクラスにいる山田君のガールフレンド。山田君が実は同性愛者で、自分がカモフラージュに使われていることを知らずに付き合っている。自らのセンスの良さを誇る一昔前で言うところの「宝島系少女」。いくら付き合っても距離を置き続ける山田君に苛立ち、女としての「業」に目覚める。
- 吉川こずえ
- ハルナ達より一学年下の一年生でモデル。ほっそりとした外見だが、実は過食症で、物陰に隠れてジャンクフードを貪り食っては吐くという行為の繰り返しに溺れている。驚くべきは秘められた「社会」に対する激しい敵意。「死体愛好」という点で山田君と同好の志。だが、互いに相手をヘンタイ呼ばわりしている。何故かハルナに好意を抱き、隙あらば陥とそうと虎視眈々。
- ハルナの母
- 45歳。母一人娘一人の母子家庭の母。死別したと言うより離婚したような雰囲気が漂っている。若者に対し理解有るオープンな態度を示そうと心がけている。何か一昔前の全共闘世代が母親になったような・・・
物語は恐らく1993年の1月から2月頃にかけてのおおよそ2ヶ月間の間に進行する。ハルナは17歳で高校2年生の冬を迎えている。
ちょうどこの作品の連載がCUTIE誌上に始まった頃。この作品はあくまで「今」を想定して描かれたようだ。
それにしても岡崎の作品がかつてこれ程の高いトーンで始まったことがあったろうか?
出だしからもう作者自身が絶頂に達して、思いっきりイってしまっているようだ。
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