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▼16.足音
はじめは何も聞こえなかった。夜は静まりかえり、頭上で星々が燦々と輝き続けるばかりだ。しかし、気が付けば、いつの間にか殺気に満ちた気配が空気の中に漂っている。やがて少年の耳にも、遠く微かに、ざわめきが聞こえてくる。最初、空気の揺らめきのようにしか感じられなかったそれは、次第にその実体を明らかにし始める。誰かが、旧市街の路地を近づいてくる。一人ではない。少なくとも数十人はいる。多くの足が地面を踏みしめる低い響きが、金属と金属の触れあう響きと混じり合う。それは寺院前の広場いっぱいに広がったかと思うと、一気に、崩れかけた階段を駆け上ってくる。
次の瞬間、無数の兵士たちが無言のまま二人を取り囲んでいた。
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