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●アルバイト


 電話受け付けのアルバイトという触れ込みだった。
 申し込むと宅急便で携帯電話が送られて来る。三日間だけ受け付けをやって、終わったら、応募者のリストとともにそれを私設の私書箱へ送り返す。支払いは現金。手付金が携帯電話とともに送られてきて、残りはリスト返送後ということだった。
「とっても微妙な問題だから何の受付なのかは一切聞くな、その代わりバイト料はたっぷり払うって言うのよね。」
「アシがつかないようによく考えてるんだな。」
「申し込みのときに電話に出てきたオヤジが結構まともな感じだったんで、まぁ、いいかと思ったんだけど、やだぁ、なんか気味悪くなってきたぁ。」
 ここで放り出すともっと危ないことになるかもしれない。そう言って、急に怯え始めた彼女をなだめすかし、僕は自分自身をテロリスト志願者のリストに付け加えさせた。
「何でそんなことするの? あなた、何か思想にでもかぶれてるわけ?」
 あまりおかしかったので、思わずげらげら笑い出してしまう。
 その笑いの中に何かを感じ取ったのか、彼女は案ずるような口調で言う。
「あんまり怪しげなことに足を突っ込まない方がいいんじゃない。」
 そんなことはどうでもいいんだよ、と、僕は答える。
 自分が本当のことを言ったことに気がついたのは、電話を切ってしばらく経ってからだった。


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