13.(back) ← → 15.(next)
●葛西臨海水族園
水族館の裏手のテラスで、ベンチにへたりこむ。
見渡せばこの水族館を囲む公園は、正面に海を臨み、左右を川に挟まれた中州のような場所に位置している。
左手の川の向こうに見えている建物の群こそが、ディズニーランドに他ならない。
僕はぼんやりとディズニーランドの遠景を眺めやる。
目を捉えるのは奇妙な形をした尖塔の群。
お伽話の城を模した張りぼての建造物だ。
この悪趣味は何だろう?
東名高速を走っていると、あれは確か名古屋の郊外辺りで、こんな建物の群に出くわして呆気に取られることになる。ラブホテルの一大集積地だ。
おそらくこの類似性には意味があるのだろう。
お伽話のお城のようなラブホテルは人々の耳元で甘く囁きかける。ここで行われていることは決していかがわしいことでも汚らわしいことでもない。それどころか無垢で純粋で自然な行為なのだと。
しかし、性行為の本質が破壊と死への衝動であることは明白なことではないだろうか? 例えばあなたは相手の人格を本当に尊重し、慈しみ、温かい思いやりの気持ちを抱きながら性交できるだろうか? 理性も人間性もかなぐり捨てて解放を味わうその瞬間にこそ性の快感の本質が潜んでいるのではないか? 卑劣な人間にはそんな生命の現実が耐えられない。人間性など歯牙にもかけない得体の知れない力の道具にされている自分の姿が。こんなすり替えを自らに仕掛け、責任を回避する狡猾さは、自らを平凡と呼ぶ類の人間の醜さの本質だ。
13.(back) ← → 15.(next)
●作品アーカイブ top
●tach 雑記帳 top
●update index
●file index
●BBS tach談話室
©tach 2002 [e-mail: tach@iname.com]