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●決意
「やりましょう。」
僕は黒幕に言った。
黒幕の顔がぱっと明るく輝く。
「分かってもらえたかね。」
僕は黙って肯く。ことばは余計だと思った。
黒幕は椅子から立ち上がり歩み寄ってくると、がっしりと僕の手を握りしめた。
「ありがとう。本当にありがとう。」
黒幕は殆ど涙ぐまんばかりだ。
「これが非常に辛い決断だと言うことは分かっているよ。誰が好きこのんで人々の血を流すだろう? しかし我々の社会の再生にとってはどうしても避けて通ることのできない道なんだ。人々を目覚めさせるにはこの方法しかない。いずれは誰かがやらなければならないんだ。」
その大袈裟な反応に僕は当惑する。何かそぐわないことを口にして周囲に思わぬ騒ぎを引き起こしてしまった子供のように、ばつの悪い気分だ。
いつまで経っても黒幕が手を放そうとしないので、僕はぼんやりと窓の方を眺めやる。
いつもの土曜日の午後のように、眩しい陽の光が射し込んできていて、部屋の中を穏やかな光で満たしている。暖かい空気の中にひなたくさい埃の臭いが混じっているところもいつもと同じだ。
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