9、雅な国風文化(文学編)
遣唐使廃止により他国との交流が薄くなると島国である日本は他国の影響をあまり受けない独自の文化が栄えることとなりました。世にいう『国風文化』です。優雅で日本的といえる文化をこの章で紹介したいと思います。
文学・・・この頃の特徴は文学を作った人も読んだ人も全て貴族社会の人であったことです。特にかな文字の発達とともに女性の教養が高められ女性特有の感受性豊かで個性的な文学が現れるようになりました。
| 900年頃 |
『竹取物語』 |
作者も源順(したごう)という説があるが不明。『源氏物語』の中に「物語の出で来しはじめのおや」とあるように現存する最古のかな物語。現実社会では起こりえないような伝奇物語であるのも面白い。 |
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←『竹取物語絵巻』より |
| 905年 |
『古今和歌集』 |
醍醐天皇の勅命によって紀貫之らが編纂。最初の勅撰和歌集である。『万葉集』から後の約140年間の名歌を約1000首集めた。 |
| 935年 |
『土佐日記』 |
紀貫之作。「をとこもすなる日記といふものを〜」始まる出だしは有名。わが国ではじめての男性によるかな文の日記。男である筆者が女を装って書いているのが面白い。 |
紀貫之ってこんな人・・・醍醐・朱雀天皇に仕えた歌人、学者。勅撰集における歌数は藤原定家についで2位である。また書道家としても優れ多くの名筆を残した。『百人一首』には、
「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞむかしの 香ににほひける」
という歌を入首させている。 |
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| 946年頃 |
『伊勢物語』 |
在原業平の歌を中心とした短編の説話125段からなる歌物語。各段は「昔、男ありけり」でだいたい始まっているのが特徴。 |
在原業平ってこんな人・・・阿保親王の子。平安前期の歌の上手な6人をあげた六歌仙の一人。『伊勢物語』の「東下り」の場面では、関東を目指す業平の一行が三河の国に来たとき、ある人に「『かきつばた』という五文字を句の上にすえて、旅の心をよめ」といわれ、
から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞ思ふ
(慣れ親しんだ妻を都に残してきたので、はるばると来た旅をしみじみと思うよ。)と詠んでいる。 |
| 1000年頃 |
『枕草子』 |
清少納言の作。有名な「春はあけぼの。」から始まる。「をかし」という美の理念を生み出した随筆文学。中宮定子の兄・藤原伊周(これちか)が中宮に紙を差し上げた時、定子は「何を書きましょう」と言ったので清少納言は「枕にしましょう」と答えた。中宮はその紙を清少納言にわたすと彼女はその紙にいろいろなことを次々と書いていったということである。『枕草子』のいわれである。なお「草子」とは、とじ本のことである。 |
| 清少納言ってこんな人・・・清原元輔(もとすけ)の娘であることから清・少納言(清は清原、少納言は官位を示す)と言われる。一条天皇の中宮定子に仕えたが定子の死後、さびしい生活を送っている。 |
| 1010年頃 |
『源氏物語』 |
桐壺の更衣を母として生まれた光源氏を主人公とした54帖からなる恋愛物語。作者は紫式部。この物語を書いたため地獄に落ちたといううわさが後に流布した。「もののあわれ」(しみじみとした趣)を示した文学と言われる。 |
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←空蝉に恋をし、ふすまより光源氏が碁を打つ姿をのぞいている場面 |
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| 紫式部ってこんな人・・・藤原為時の娘。はじめ藤式部と称され『源氏物語』を書いたことより「日本紀の御局」とあだ名された。一条天皇の中宮彰子(しょうし)に仕えた。彰子が皇子(後一条天皇)を生み、父藤原道長の後ろ立てで栄えたことにより、清少納言とは逆に華やかな生活を送ることとなる。 |
| 1013年頃 |
『和漢朗詠集』 |
漢詩文や和歌の中から節をつけて朗詠するのに適したものを藤原公任(きんとう)が選んで二巻にまとめたもの。漢詩文では、白居易・菅原道真、和歌では紀貫之のものが多い。 |
| 1028年頃 |
『栄華物語』 |
歴史物語のはじめ。宇多天皇から堀川天皇まで、約200年間に及ぶ歴史の中で、藤原道長の栄華を中心にかな書きで物語風に書いている。40巻。 |
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←奈良絵本『栄華物語』 |
| 1060年頃 |
『更級日記』 |
菅原孝標女(たかすえのむすめ)の筆。少女時代から老境までの約40年間の人生を回想した記録。物語にあこがれた夢多き少女が、結婚生活など厳しい社会生活に幻滅し、仏に来世を願う過程を描いている。 |
| 1106年頃 |
『今昔物語』 |
説話集、作者不詳。31巻からなるも現存は28巻。約1200話。漢文体にカタカナの和文体がまじった和漢混交文で書かれている。各説話が「今ハ昔」の書き出しで書かれていることから『今昔物語』の名が付けられた。また終わりの多くは「トナム語リ伝へタルトヤ」で結ばれている。登場人物は皇族・貴族から武士・僧侶・医師・農民・商人・盗人・浮浪者など幅広い。 |
その他、女流歌人の活躍が目立ちます
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紫式部と同じく中宮彰子に仕えていた和泉式部は、敦道親王との恋を回想風に綴った『和泉式部日記』を残しています。(和泉式部・・・『月のページ』和歌参照)
赤染衛門は中古三十六歌仙の一人で和泉式部と並び称されたほど名声がありました。大江匡衡(まさひら)の妻となる。有名な文章道の学者大江匡房は曽孫に当たる。上記にある『栄華物語』の前編は衛門の作とも言われている。(赤染衛門・・・『月のページ』和歌参照) |