
ドイツの伝説
ハンスという男は働き者であったが、ひどいへそまがりでもあった。日曜日は神の定めた安息日で、その日はみんな仕事を休んで教会へお祈りに行かねばならない。しかし、ハンスは「わしが仕事をするのは、わしの勝手さ」と森の中に薪採りに出かけて行った。
背中へ山のように薪を背負ったハンスは、立ち上がって帰ろうとすると一人の男に出会った。背の高い、髪やひげを長く伸ばした、粗末な服を着た人物であった。その人は、「お前は日曜日なのにどうして働いているのか」と尋ねる。ハンスは吐き棄てるように「働こうと働くまいと、わしの好きにするのさ。神様の罰が当たるというなら、当てたらいい。」と答えた。しかし、その人は静かに諭すようにいう。
「日曜日は、六日間十分に働いて次の週にそなえるために休むのだ。体を休めるばかりでなく、頭も休め、他の疲れた人々をいたわるために1日あけてある。お前は、それでも働きたいというのなら、あの月の世界へ行って永久に薪を背負って歩けばよい」
そう言って、その人は森の中へと消えて行った。ハンスは、薪を背負ったまま、天に昇り、月の世界で永久に働くこととなってしまった。
働きすぎて罰が当たるというのは、生活を楽しみ、自分勝手を戒める、ヨーロッパ人の考え方で、さしずめ日本人も気をつけた方がよさそうだ。
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