
カナダの伝説
大昔のこと、実は月も太陽と同じくらい強く輝いていた時代があった。ところが月には一人の妹がいて、これがなんとただのかえるであった。二人とも天上界に住んでいた。
ある時、月は星たちを招いて大宴会を開いた。大勢の星たちが次から次へと、月の家にやって来たのでとうとう妹のかえるの居場所がなくなってしまった。妹のかえるは、兄に向かってぶつぶつ文句を言った。
「お客を呼ぶのはいいけれど、少し大勢呼びすぎたんじゃないですか。私の居場所がないじゃありませんか。」
意地悪な兄はせせら笑った。
「お前なんか、どこにいたってかまわん。そこらにぶら下がってればいい。」
かえるはかんかんになって怒った。
「兄さん、本当にどこにいてもいいんですね。」
「ああ、いいとも。」
月が返事をしたとたん、妹のかえるはぴょんと跳ねて、兄の顔にとびついてしっかりとしがみついてしまった。兄はびっくり、顔を振って振りほどこうとしたが、妹はいっこうに離れない。
このため、月の光は今では太陽のように明るくなくなってしまった。おまけにいつ見ても、月の顔にはかえるの姿が黒い影のようになってしがみついているのだ。
これはカナダ・インディアンの間の伝説である。月にかえるがいると考えられているのは中国で、全く共通した見方がカナダのインディアンの間に伝わってるのは、インディアンの起源がシベリア、アラスカを経てアジア大陸から渡来したという説と共に興味深い。
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