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t月みれば ちぢに物こそ かなしけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど 大江千里 |
月を見ると、様々に、物みなすべてが悲しく感じられることだ。私一人だけに訪れる秋ではないのだけど・・・・・
(出典)『古今集』秋上
(解説)作者は大江千里(おおえのちさと)、およそ9世紀から10世紀にかけて生きた人物。漢学の家の出で学に秀でていた。文章博士となり『句題和歌集』を残す。
「ちぢに」は「千千に」で「わが身ひとつの」の「一つ」と対照させている。千と一を対照させた技巧である。月は秋の重要な風物となり、俳諧では月と言えば秋の月のこととなった。なぜ、月を見ると悲しいのか、そういう日本人の心を導き出したのがこの歌であったかもしれない。
作者大江千里は六歌仙の一人在原業平の甥にあたる人物である。業平もまた同じく百人一首に
ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれないに 水くくるとは
という歌を入首させている。こちらの方は同じ秋を詠った歌だが月でなくもみじを詠んだものである。竜田川は奈良県生駒郡に流れる川で今もなお紅葉の名所である。