ーその3
ところで、祖父であるワハンソナコックからは五千エーカーの土地を、そして亡父からも広大なプランテーションを相続、大地主となったトーマスは難なくエリートの階級に加わります。そして彼は裕福な家庭の女相続人ジェーン・ポイスレスを妻に迎え、さらに富を増やして行くのです
(ショートパンプ・モールに建つワハンソナコックの像)
ラルフ家がトーマスの代になり、より一層繁栄して行く陰で母方の民ははその分虐げられ慣れ親しんだ故郷から迫害されていったのです。
話は再び脱線しますが、このポイスレスの血筋を引く家族が筆者の隣人だったことがありますが、ポカホンタスの血は四世紀たった現在白人社会の中に脈々と流れているようです。彼女の末裔は大統領の家系の中にも見られるほどです。
例えば三代目大統領トーマス・ジェファーソン。
トーマス・ラルフ夫妻には娘がひとり授かりジェーンと命名しますが、成人した彼女はバージニア植民地では名門として知られたボーリング家の子息ロバートと結ばれます。そしてふたりの孫娘に当たるジェーン・ボーリングはバージニア・ダイナスティーと言われるエリート一家のひとつであるランドルフ家の四男リチャードに嫁ぎます。そしてその孫リチャード(同名)はいとこ同士のジュディス・ランドルフと結婚するのですが彼女の兄がトーマス・ジェファーソン大統領の長女マーサと結ばれているのです。
また、ジョージ・ワシントンの家系図にもポカホンタスの名が現れます。もっともマーサ夫人を通して、ということですが。上に述べたロバート・ボーリングの孫、ジェーンの兄弟にジョン・ボーリングという人がいまして、その娘アンが、先妻に逝かれた後のマーサの従兄の息子ウィリアム・アレキサンダー・ダンドリッジの再婚相手になっているのです。そうなると、独立革命の英雄、パトリック・ヘンリーとポカホンタスとの繋がりも生じることになります。彼の後妻となったドロシアがこのウィリアムの姉に当たるからです。
さらに・・・ウッドロー・ウィルソン。28代目の大統領ですが、再婚相手のエディスも(父ウィリアム・ボーリングは裁判長でした)ポカホンタスの血筋を引いているとのことです。
風呂敷を広げているように思われそうですが、現ブッシュ大統領も母バーバラ (前大統領の妻、バ−バラ・ブッシュ) の家計図がボーリング家に繋がっている、と耳にしたことがあります。ただし彼女の先祖のひとりがポカホンタスの曾孫ジョン・ボーリングと結婚したメリー・ケノンの姉妹と結ばれている、ということでかなり遠縁関係 − 血縁ではない − と言うことらしいのです − 。
(ジェイムスタウンにあるポカホンタスの像。プリザベーション・バージニアより拝借。)www.apva.org/tour/pocastat.html

こうして、ポカホンタスの名は彼女の死後も、バージニアの、特に18世紀から19世紀にかけての名門と呼ばれた家庭の系図に否応なしに、しかも頻繁に出没することになるのです。ニューメキシコやアリゾナと異なりバージニアを散策される際、いかにもインディアン然とした ― 先住民らしき面持ちの人には余りお目にかかりません。若し遭遇したら多分その人はメキシコ人かヒスパニック系ではないかと思います。バージニアでは、ウィルソン大統領夫人の様に、先住民は今や殆ど白人或いは黒人と同化してしまっていて外見からの判別は不可能に近いようです。
彼らはジェファーソン大統領が予想した通りの運命をたどったことになります。征服者と同化して行くより他に生き残る術は無かったのです。
こうして世代毎に先住民としての血は薄められて行ったバージニアにおいて、ポカホンタスはバージニア先住民の運命を象徴していると言えましょう。
(右の写真はジェイムスタウンに建つポカホンタスの像。APVA のウエブサイトより拝借しました。))
参考文献:Pocahontas's People by Helen C Rountree, University of Oklahoma, 1990
バージニアのポカホンタス
copyright 2006−2030 momshahm−homepage All Rights Reserved.