死せる2人のフランス人
近年、ある2人の人間の死が私に衝撃を与えた。その2人には共通点があった。2人とも著名であり、フランス人であり、私がとても憧れ、尊敬している人物たちであり、そして死因が自殺であったということ。もちろん私はその2人に会ったこともない。しかしその2人は今持ち続ける事が難しくなってしまった夢や希望というものを私の心に甦らせてくれるような、そんな人達だった。そんな2人を偲んで、今ここに綴っておきたい。 ジャック・マイヨール(1927〜2001)享年74歳。 私が彼の名前を知ったのはとあるテレビ番組だった。酸素ボンベも何も使わずに100メートル以上も潜る人間のことが紹介されていたのだ。最初に聞いたときは思わず耳を疑った。「人間がそんな深い海底で無呼吸と水圧に耐えられるものだろうか。」と。しかしそれは事実だったのだ。彼はヨガなどによる独特のトレーニングで心身をコントロールし、深海105メートルという前人未到の境地へ到達できるようになったのである。詳しいことは忘れたしまったのだがその番組の解説によるとマイヨールは水棲哺乳類の呼吸機能を体得してしまったというのだ。太古の昔、海から上がってきた生物が肺呼吸をはじめ陸上で進化したことは周知の事実である。その哺乳動物の一部が再び海に還り進化したものがイルカやクジラなのである。哺乳類にもかかわらずイルカやクジラは水中で長時間活動することができる。また潜水、浮上により人間などに起こる潜水病/減圧症(急激に浮上した場合など、圧力の調整が間に合わず、多すぎる窒素が気泡となって発生し、身体の組織に影響を与えたり、破壊したりする。とても疲れてしまったり、関節が痛んだり、皮膚がかゆくなったり、ひどい場合は肺が破裂するなど生命に危機を及ぼす。)などの障害も独特の呼吸機構によって起こらないようになっている。ジャック・マイヨールはその水棲哺乳類の心肺機能を文字通り体得してしまったのだという。 |