Coveの街から山を挟んだ場所にオーク達の砦が存在する。 お互いの微妙な均衡によって長い間大きな争いが起こることはなかった。 雑食であるオークは人間を食料だとみなしている。 人間はそんなオークを当然のように邪悪な生き物であると考えていた。 幾度かオークを討伐することが論議されたり、実際にオーク砦に攻め込んだがその数の脅威によってオーク達が滅ぶことはなかった。 そんなオーク達の生活に異変が訪れたのはいつからだったのだろう・・・
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どこからか争いの音が聞こえてくる。 俺は必死で音のする方向へと走るがなにも見つからない。 なぜ、戦いの場所を探している? いったいなんの争いだ? ふと、目の前にオークが姿を現す。 オーク! そうだ・・オークを倒さなければいけない。 どこで? ここは・・Cove・・。
目が覚める。自分がどこにいるのか、自分の状況を把握できない。 外は争いの音が響いている。
そうだ、戦いだ。 俺はオークと戦っていた。 そしてCoveの街にきた・・。 そして・・・。
聞こえてきた声の方向へ視線を向ける。
意識を失う少し前に確かに誰かの声を聞いた気がする。 そうか・・あの足音は人間の物だったのか・・
Coveの街の周辺はオークがいることはあってもブリガンドの類が姿を現すことはほとんどなかった。 元々Coveは田舎町でここに立ち寄るのは冒険者がほとんどだ。 ブリガンドが危険を犯してCove周辺を襲うことはあまりない。
しかし、あのオークがいる中で俺はどうやって街中まで運ばれたのはだろう。それに・・
そう、オークは単純だ。 今まで当たり前だったことのはずだが、最近の奴らの動きを見ていたせいか、それまでのオークを忘れさせていた。
ベッドから立ちあがろうとした俺の身体に痛みが走る。
「心配しなくとも、これまでオークと長きに渡って戦ってきたCoveの街だ」
「そう簡単にはやられはしないし、各地から冒険者も駆けつけ始めている」
確かにこの痛みの中、戦ってもまともに戦えるかわからない。 傷口はすでに塞がっているが身体の痛みだけはすぐには取れそうになかった。 少し冷静になって俺は再びベッドに横になる。
「そうだ、お前の荷物・・それと武器だな」
「一緒に運び込まれているから安心しろ」
「彼は仲間を森で失ったらしく茫然自失の状態で」
「お前と同じように運ばれてきたんだが・・」
「事情を聞いたのだがどうもわからなくてな」
「お前は何か知っているかな?」
「ああ、そうだ私が『オークじゃないのかね?』と聞いた時・・」
「一度だけ『オーク・・? あれは・・オークなんかじゃっ!』」
「そう言ったきり口を閉ざしてしまったよ」
そう言うとHealerは苦笑いを浮かべていた。
そう言って、目を閉じる。 その冒険者が見たのはいったいなんだったのだろうか。 オークではない化け物・・何かを投げた・・馬の足? わからないな・・。
その後、俺の身体から痛みはなくなり再び戦いに出ることになった。 その頃Coveの街ではある噂が広まっていた。 その噂は、Coveに向かっていた冒険者の一団が全滅したいう話で、オークに襲われたのかと言えばそうでもないらしい。 そして馬の死骸に絡みついた先端に石のついた、いわゆる『ボーラ』と言われる狩猟道具が発見されたらしい。 現在、その現場へ貴族の団体が調査に出ているそうだ。 俺はその噂を聞いてあのHealerの言葉を思い出した。
なぜかそれが正しいという確信があった。 しかしまだわからない部分がある。 オークでなければそんな物を使うのは人間くらいだ。 だがブリタニアの住民にはボーラを使う習慣は無く、冒険者は『化け物・・』と呟いていた。 どういうことだ?
噂を頭の中で整理している時に再びあの爆発音が聞こえてきた。
戦場へと駆け出した。
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どれだけのオークを倒しただろうか。 爆弾を持ったオークも爆弾に注意すれば十分勝てる相手だった。 疲労感の中、爆弾を持ったオークの荷物に見かけない物を発見する。
それは丸いボールのような物体だった。 他の冒険者達も同様にボールのような物を発見していたようだ。
一人の冒険者がそう言って集めたボールを触っている。
たしかに、言葉通りボーラのそれになる。 冒険者は細工士を訪ね製作の依頼をし完成した物を持ってくる。
振りまわしたボーラを一気に木に向けて投げ放つ。 ボーラは一直線に木に向かって飛び木の幹に巻きつく。
疑問が浮かぶ、やはりボーラを持っていたのはオーク? だがまだオークがボーラを使っているのを見たことがない。 それに・・まだHealerの話の冒険者の言葉が気に掛かる・・。 オークではない・・。 では、いったいなぜオークが部品を持っている? 一度、噂のボーラが発見された場所を見ておこう。 そう思い再びオークとの戦場へと向かって行った。
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