Coveの街から山を挟んだ場所にオーク達の砦が存在する。 お互いの微妙な均衡によって長い間大きな争いが起こることはなかった。 雑食であるオークは人間を食料だとみなしている。 人間はそんなオークを当然のように邪悪な生き物であると考えていた。 幾度かオークを討伐することが論議されたり、実際にオーク砦に攻め込んだがその数の脅威によってオーク達が滅ぶことはなかった。 そんなオーク達の生活に異変が訪れたのはいつからだったのだろう・・・
オークとサベージ族の争いは日毎に激しさを増していく。 オークの少なかった砦はすでにサベージ族に支配されているらしい。 Coveのオーク砦でさえも一部のオークロードがサベージ族に挑んでいたが、大部分のオークは住処を離れ新たな場所を求めていた。
そんな中で、間に挟まれるブリタニアの民は選択を強いられていた。 オーク、サベージ・・どちらを支援するかという選択だった。
サベージ族は我らとは根本的に考え方が違うのだ。
やつらを信用するのは危険だ。
オークのマスクを被りどこから来たかもわからんやつらを退けるべきだ。
どちらに付いたところで残ったほうが我らの新たな脅威になるのだ。
ならばどちらも倒すべきだろう。
両方を相手にするなど正気の沙汰ではない。
だからこそ、まずはどちらかについて相手を絞らねば。
俺達は街が守れればそれでいいんだ。
数日後・・。 俺はVesperの街へ補給の為に戻り、街の周辺を捜索していた。
以前、たしかにオーク達がいたはずのキャンプにオークの影は全く無い。 Vesperの街は、サベージ族が出没しているがオークの姿は見えない。 Vesperの冒険者にとって敵はオークからサベージ族に変わっていた。
Vesperの戦士ギルドに訪れ、新たな情報を手に入れる。 各地からオークの姿が消えたらしい。 不審に思い行方を追った冒険者がいたが、Yew付近で消息を絶ったという。 その冒険者が最後に伝えてきた情報は、「オークに新たな住処。調査に向かう」だった
薄暗い洞窟の中。 新たに作り上げたオークの要塞。 しかし、Coveの砦を懐かしむオーク達。 彼らの不満はピークに達していた。 取り戻すのだ。 我らの家を・・
オークの新たな住処があるというYew近辺を調査する為に準備を始めていた俺は、一度Coveを経由しようと考えていた。 オークもそうだがCoveのオーク砦を占拠したサベージ族の動向も気になっていたからだ。 Vesperの街を深夜に発った俺はすでにCoveの付近まで近づいていた。 もうすぐ夜が明ける。 東の空が明るくなり始めた。 そんな時だった。
明るくなる東の方角で何かが動いているように思った。 まだまだ距離は遠い。 だが、その数は尋常ではない。
嫌な予感がした俺はCoveの街の方角とは反対側の森に向けて馬を走らせた。 遠くから近づいてくる影は徐々にその姿を現し始める。 森の中に身を潜ませ様子をうかがう。
オークの大軍がCoveの街の方角に向かって押し寄せている。 この数はこれまでCoveの街を襲っていたオークの数を遥かに凌駕している。 このオークの大軍がCoveの街を襲えば・・
馬に飛び乗り、オーク達の足よりも速いスピードでCoveの街へと駆け出す!
まだ、起床している人間の少なかったCoveの街は静かだった。 防御壁に常駐していた衛兵に急いで俺の見たオークの群れを説明する。 Coveの街に響き渡る警鐘。 そして冒険者達が戦いの為に防御壁の外に集まる。
徐々に遠くにオークの姿が目視できるようになってくる。 その数にCoveの住人は恐怖する。 俺自身、目に見えているオークの数を前にして無事でいられるなど思えない。 街の住人の中には、もうCoveは終わりだと言う者までいる。
近くでそんな会話が聞こえてきた。 Coveの住民はこれからのことを選択していた。 それはオーク・サベージ、どちらの味方につくかだ。 オークにつくと言った者はその手にオークのマスクを手に取った。 サベージつくと言った者は装飾を施す為の染料を手に取った。 数人の住民が装飾を施して、以前オーク砦であった方角に走り出すのが見えた。
俺はどちらにつくべきか・・ 悩んでいた。 両方を敵にすることがいかに愚かであるかは明白だった。 まずは、どちらかを退けなければいけない。 わかってはいるが、正直すぎる性格が邪魔をして相手が敵であっても騙すという行為が気に食わなかった。 いつかこの融通の利かない正義感で命を落としそうだなと苦笑する。 その時は近づいているのかもしれない。
オークの群れはCoveの街のすぐそばに達していた。 Coveの街は張り詰めた空気で覆われている。 戦いが始まる・・ 誰もが覚悟を決める。 だが、異変は起こった。 オークの群れの先頭はCoveの町には目もくれず、そのままオーク砦のある南側へと向かって行く。 追随するオーク達もCoveの街を襲うことなくオーク砦へと向かって行く。
唖然とする俺達。
昔からCoveに住んでいるオークに憎しみを持った男が叫ぶ。
一人の冒険者がオークのマスクを握り締める。
オークとサベージ。 恐らく最後になるであろう二つ種族の争いが始まった。
オーク砦内部ではオークとサベージ族が争っていた。 そこにオークマスクを被った人間とサベージ族の装飾を施した人間が混じっている。 オーク達の中には巨大な身体を持ったオークがサベージ族に向かって巨大なメイスを振り下ろす。 サベージのシャーマンはその巨大なオークに向けて魔法を放つ。 魔法を受けた巨大なオークは手近なオークを掴みサベージに投げつけていた。 激しい振動と共に見たこともない生物に騎乗したサベージが槍をオークに突き刺している。 見たこともないその生物は地面を踏みつけるとその周りに群がっていたオークは痛みに顔をしかめていた。
戦いが始まって幾日かが過ぎた。 オーク・サベージ共に戦いによる消耗が激しくなっている。 もちろん、戦いに加わった人間も命を落とした者がいるだろう。 俺はどちらにも属さないまま襲ってくる相手と戦っていた。 戦いでの疲弊と負傷は激しく、Coveの街で治療を受ける。 そして再び戦いへと赴いていく。 もうすぐ、この戦いも終わる・・。 戦場の雰囲気でそう感じていた。
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オークとサベージの最後の戦いから数日が過ぎていた。 あの日から大きな争いは起こってはいない。 今回の事件でオークは色々な技術を手に入れていた。 これはブリタニアの人間にとって厄介なものとなるだろう。 そして、その技術を与えたであろうサベージ族。 しかし、サベージ族はそのオーク族を絶滅に追いやろうとしていた。 サベージ族を知れば知るほどオークに彼らが技術を与えたとは思えない。 与える理由がわからなかった。 与えたことによりサベージ族は苦しむ結果となったのだから。 では、いったい何者が? そもそもサベージ族とは・・
冒険者の間で色々と噂があった。 サベージ族はこの世界ではない別のFacetからやってきたのだという。 イルシェナーが発見されてからの調査のなかではそれらしき痕跡はなかった。 では、さらに別のFacetなのだろうか・・。 さらにサベージ族は裏で操られていたという噂まで出て来ていた。 ではそれは何者? そう俺達はまだなにも謎を解決することはできていなかった。
眠気に襲われながら一言呟いた。
見たこともない場所。
嫌な笑みを浮かべる者。
お前は・・誰だ・・?
答えは返ってこなかった。
Fin


