ガーゴイル族の危機

誰に聞かれても構わない。苛立ちを隠せないそのガーゴイルは
壊れたピックアクスをトンネルの壁に投げつけた。三日三晩掘り
続け、彼の体力はその斧と同様に疲れきっていたのだ。トンネル
の壁に背中をもたれ、自分自身を落ちつけようとしていた。

第2章-開かれた扉(前編)-

調査報告:FATE - Guild TKR

『光・・・』

 いったいどれほど掘り続けたのだろうか。 闇の中に現れた小さな光を見つめながら思う。 その光は自由への光。 そして、我らの開放への始まり。 共に計画を実行した同胞達はやつらに捕らえられた。 だが、ただ一人でもいい。 外界に出て助けを求めるのだ。 残った力をその一振りに託し、光に向かって振り上げた・・

 日の光が高くなっている。 俺はスカラの町にある対岸の渡し舟に乗り込もうとしていた。 Golem・コントローラーと呼ばれるようになったあの時のやつらが一体何者だったのかは未だにわかってはいない。 ただ、やつらはブリタニアの各地に現れるようになった。 トリンシックでの事件後、俺はサベージ達が住み着いた沼地の調査に出かけた。 幾度かサベージと争いになったが、場所の特定やサベージ達が再び街を襲ってくるだけの力のないことを確認することができた。

「サベージに・・あのGolemとかいうやつ」
「一体、どこから来たんだ?」

 船に揺られながら、答えの出ない疑問を口にしてみる。 ブリタニアに集まる多くの情報でもサベージ族の出所、そしてGolemとそれを操る者の正体は全くわかっていない。 トラメル・フェルッカ・イルシェナー・・どのファセットにも手がかりはない。 まだ知られていない未知のファセットでもあるのだろうか。

 船はゆっくりとスカラの町の港に着岸する。 船から降りた俺はスカラの付近の情報を求め酒場へと向かったいた。 途中、住人の会話が何度か耳に入る。 ガーゴイルという言葉が多く聞こえていた。

 酒場の扉を開けカウンターへと足を進める。 飲み物を注文し軽く口を潤した後、隣に座っていた冒険者に話しかけてみる。 出てきた言葉は「ガーゴイル」だった。

「どこの話かはよくわからのだが」
「つい先日、ガーゴイルが保護されたって話が流れている」

「ガーゴイル・・」
「しかし、保護って一体?」

 普段、ブリタニアでよく知られたガーゴイルは人間を敵としている。 捕獲ではなく保護という表現に引っかかりを覚えた。

「なんでも、そのガーゴイルは人間にわかる言語で話し掛けてきたらしい」
「『助けを・・』『我らの地はイルシェナーに・・』」
「それだけを言うと気を失った」

「ガーゴイルが助けを求める?」
「なんだか信じられない話だな・・」

 ガーゴイルの一族は人間を敵として襲ってくるだけの、俺達にしてみればそこらにいるモンスターと同じでしかなかった。 それゆえに、人間に対して助けを請うなどあり得るとは思えなかった。

「だろ? 私も信じられなかったんだがな」
「だが、ブリタニア王宮が調査団を組織しているらしい」
「調査地はイルシェナー・・どうやら信憑性は高いみたいだな」
「私はこれからイルシェナーに向かおうと思っている」

 そう言うと、冒険者は席を立ち酒場から姿を消した。

 俺はMoongateのそばで足を止める。 結局、ガーゴイルの話以外の情報は大した物は得ることができなかった。 考えた末に、イルシェナーに向かうことにする。 イルシェナーは危険な土地であるためにスカラの街で準備を整え宿で一晩休んでから向かうことに決める。

 Moongateの前に立ち、イルシェナー内のどの神殿から調査を始めようかと考えていたその時・・

「お、君は・・」

 Moongateから現れた人物が俺に向かって話し掛けてきた。 顔を見て思い出す。 昨日、酒場で話しを聞いた冒険者だった。

「君もイルシェナーにいくのか?」

「ああ、そうするつもりだが・・」
「どうだった?」

「そうだな・・、怪しい穴なら発見したが・・」

「怪しい穴?」

「慈悲の神殿の南にキャンプがあるのは知ってるか?」
「そのキャンプの山肌に見慣れない穴が開いていた。」
「入ろうかとも考えたのだがな・・」
「その前に装備を整えに戻ってきたんだよ」

「なるほど・・慈悲の神殿か」

「行くなら注意しろよ?」
「それでは私は町に戻る」
「イルシェナーでまた会えるかもな」

 そう言って冒険者はスカラの町に向かった。

 俺は冒険者の話の通りに慈悲の神殿に降り立った。 そしてそのまま南のキャンプへと駆けていく。 程なくキャンプに到着し山沿いに歩いてみた。 そしてそれを発見する。

「なるほど・・確かに怪しいな」

 その穴は人工的に掘られたものであることは明確で、こちら側に向かって掘られていた。

「さて・・この穴がどこに通じているのか・・・」

 俺はゆっくりと穴の中に足を進めていった。

 闇に包まれた穴をしばらく進むと反対側に光が見え始める。

「出口か・・?」

 穴を抜け光に目が慣れた頃に辺りを見渡してみた。

「ここはどこだ・・?」

 その場所は見たことのない場所だった。 イルシェナーは調査で何度も足を運んでいる。 その調査ではこんな土地は見つかってはいない。 ここは全く知らない土地である・・細心の注意で調査を開始する。 程なく歩いていると、見たことのある動物に遭遇する。

「Ridgeback!?」

 そう、サベージ族が騎乗してた生物・・野生のRidgebackがそこにいた。 どういうことだ? ひとつの予感はあった。 こいつがここにいるならば・・ そう思った直後、それは現れた。

ザクッ

 槍が地面に刺さる。 俺は背後に複数の気配を感じ、その場から飛びのいていた。

「サベージ族!」

 予感は正しかったらしい。 ハルバードを構えて最初の一人に対して一気に間合いを詰める。 勝負は一瞬で決まっていた。 地面に刺さった槍を引き抜くのに手間取ったサベージは俺の攻撃に対して対処できずにいた。 残るは・・

 数分後、残りのサベージ族を倒し終わり周囲を見回してみる。

「ここがそうなのか・・?」

 サベージ族の謎。 わからなかった答えが出ようとしているのかもしれない。

 さらに平原を進んでいくと遠くに建物が見える。 注意しながら近づいていくがサベージ族の姿は見当たらなかった。

 建物は見たことのない形状をしていた。 少なくともブリタニアでは見ない建物だ。 そして、これだけの建造物をサベージ族が作れるとは思えない。 それほど高度な建造物だった。

「あれは・・?」

 建物の奥、水の柱に立っている石造を見上げる。

「ガーゴイル・・」

 そう、ガーゴイルの石造だった。 よく周りを見ると水の柱の上に同じようにガーゴイルの石造が並んでいた。

「ここが、ガーゴイルの地なのか?」
「だとすると、ガーゴイルはサベージ族に侵略を?」

 頭に考えを巡らせるがまだ何かが足りない。 ガーゴイルが易々とサベージ族に侵略されるだろうかという引っかかりもあった。

 ガーゴイルの建物を離れ再び調査に出る

ズンッ・・

 聞き覚えのある足音が聞こえたように思えた。 サベージだけではなかったのか・・? 近くの岩場の影に隠れて様子をうかがう。

「Golem・・・」

 サベージ族にGolem。 これまで繋がりは全く感じなかった二つをこの地で見ている。

「サベージ族とGolemを操る者・・関係があるのか?」

 まだ、答えを出すには足りない。 俺は岩場からGolemに見つからないように駆け出した。

 さらに進んでいくと砦のような建物が見えてくる。 砦はほとんど朽ちており、ドラゴンが生息していた。 出来うるだけ戦闘を避けながら建物を調べていく。 比較的損傷が少ない建物を見つけ俺は中に入っていくことにする。 中にはGolemを操る者、コントローラーが一人いた。 虚をつかれたコントローラーは呆気ないほど簡単に倒れる。

「ここは奴らの建物か・・」

 奥の部屋に入り、部屋の中を調べてみる。 そして一冊の日記を発見した。

 その内容は驚くべきものだった。 サベージ族はコントローラー達によって俺達と戦わされていたというのか・・?

「主・・一体何者だ?」

 出るはずのない答えを日記に向けて問い掛けてみる。 いずれにせよ、サベージ族・・そして今回のガーゴイルの事件にこの主が関わっているのは間違いがなさそうだ。 これまでなにもかもが不透明なままで成す術のなかった俺達だが・・これで明確な相手ができたと考えてよさそうだった。

 俺は日記を読み終えると慎重に階段を上って2階へと足を踏み入れた。 そして2階で再び日記らしき物を発見する。

 これは・・ガーゴイルの日記の翻訳か・・? 読み進めていくうちに俺はブリタニアの人間がこの地で成すべきことが分かってきた。 そしてこの日記を書いたガーゴイル達が俺達の知るガーゴイルとは大きく違うことを認識する。 ガーゴイルは非常に知的で高度な文明を持った種族なのだ。 そしてその種族は今、コントローラー達の出現によって危機にさらされている。 彼らを救う必要がある。 ガーゴイルがただのモンスターではなく意思の通じる相手だとわかったのだから。

「どちらにせよ・・コントローラー達をこのままにしておけないしな」

 そうつぶやくと俺は日記を置き、倒すべき相手の情報を探すために再び調査に戻ることにした。

 この日の調査でこの南にサベージ族の村があることもわかった。 彼らもまた平穏な暮らしを乱された被害者だったのだろうか・・・

・・後編へ・・


関連情報&Item


第2回よりTCの叫びが復活。
(バーテンダーより情報が遅いのか?)


サベージ族エリアにある農園(?)
サベージペイントに使用される青い果実が生っている。


コントローラーの砦にある
コントローラーFropozによる日記
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コントローラーの砦にある
コントローラーVelisによるガーゴイルの日記の翻訳
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