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ドアが強く叩かれ、仕事中のクレット(Krett)は飛び上がり、何か 重くて分厚い物に頭をぶつけた。低い、銅鑼でも鳴らしたような音 が彼の小屋中に響き渡った。両手で後頭部をしっかりと押さえ て、ゴーレムの頭を調べようと、片目で上を見上げ、クビの付け根 部分の上で、ゴーレムの頭を揺すって見た。クレットはその機械 の本体から後ずさり、頭蓋骨が起こしている、ちょっとした激震に たじろぎつつ、油だらけの布で両手を拭った。ドアを叩く音が続い ており、彼は布きれを放り投げた。『今行くよ!』口ごもりながら彼 は言った。
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ハルバードの刃はそれに当たる寸前に見えない壁に阻まれる。 まるで、そいつの前の空気が壁にでもなったように。
考えられなかった。 リアクティブアーマーやプロテクションの魔法とは違う。 例えるならスペル・リフレクションのように相手に攻撃が届かない。 もっともその衝撃が返ってこないことは救いではあるが。
そんな中で冒険者達の一部は自らの探求心を満たすために単独で潜入していた。 細工士は彼らの持ち帰る情報やゴーレムの部品に報酬を出していることも、潜入するキッカケとなっているようだ。
ガーゴイルの開放への兆しが全く掴めないまま数日が経とうとしている。 いつの頃からかある言葉が酒場で囁かれるようになっていた。 それは『エクソダス』 この言葉の意味を理解している者は皆無だった。 俺自身もその言葉の意味はわからなかった。 ただ、この言葉はあの地・・ガーゴイルの地で全滅した調査団の残した言葉らしい。 死の間際に調査団が何を言い残そうとしたのか、血の文字を書いてまで残そうとした言葉・・これが重要な言葉かもしれないと誰もが思っていた。 なんの根拠もなかったが、この言葉が未だに見えない主と呼ばれる者に直接つながる言葉であるということに俺は直感で理解していた。
俺はガーゴイルの地に調査のために訪れていた。 ゴーレムは俺に向かって腕を振り上げている。 この地ではゴーレムとの遭遇は避けられないことだ。 俺はゴーレムに対峙する。 幾度かの戦いでゴーレムの動きがよくわかるようになってきた。 ゴーレムは2体以上を相手にしなければその動きの鈍さから遅れをとることはない。 怖いのはやつの身体が麻痺するほどの強力な一撃だ。 相手が1体であれば身体に感覚が戻ってからでも対応はできる。 だが囲まれると危険だ。
俺はゴーレムを動きで翻弄しながら徐々に破壊していく。 ゴーレムはゆっくりと動きを止めて完全に動かなくなっていた。
動かなくなったゴーレムの体内になにか光がちらついていた。 気になった俺はゴーレムの装甲を剥がしながら覗いてみる。
あったのは輝くクリスタルだった。 魔法には詳しくない俺でもその石が放つ魔力を感じ取れる。 ゴーレムの・・動力? 確信はなかったが、物々しい機械に組み込まれた魔力を放つその石はなにか重要な物である気がして俺はそのクリスタルを袋にしまいこむ。 細工士にこれを見せればなにかわかるかもしれない。 これで街に戻ろうかとも考えたがもう少しこの石を手に入れておこうと、ガーゴイルの地の調査からゴーレムを倒すことに目的を切り替えていた。
ゴーレムを探して数体を破壊する。 だが、手に入ったクリスタルはさっきのと合わせてまだ二つだった。 ほかのクリスタルは粉々に砕けている物がほとんどだった。
疲労感を感じた俺は街に帰還しようと鉱山地帯から名誉の神殿に向かうために歩き始める。 だが近くで何かが動く音を聞き身構える。
背後から聞こえた音。 いざとなれば引き離して離脱しようかとも考えた。 だが目の前に現れたソレに一瞬戸惑う。
ソレは生物から発せられることのない音を放ちながら近づいてくる。 空中に浮いたそれは明らかに俺を狙っている。 ハルバードを構え間合いを計る。 その謎の物体がいったいどういったものかまだ分からない。 俺は慎重にソレを見極めようとゆっくりと近づいていく。 そして間合いに入ったソレにハルバードを叩きつけた。
攻撃はことごとく見えない壁に阻まれていた。 こんなやつは初めて見る。 これではどうにも手が出せない。 そんな時、背後から別の冒険者が近づいていることに気がついた。
異様に体格のいいその男は豪快に笑う。 一瞬、俺の戦いを見て笑っているのかと気分が悪くなったが、その笑いに何の意味も含んでいない、そういう男なんだろうということに気がつくと気分の悪さも収まる。
率直な意見を言う。
男の言葉の意味がわからなかった。 周囲を見回すといるのは俺とこの男、そして謎の物体。
一瞬、目眩を覚える。 どこの世界にこんな筋肉隆々な人間をメイジだと思えるだろうか・・。 本当だとしても冗談にしか聞こえない。 呼吸を整えて一言。
信じたくなかった・・・。
だが、不敵な笑みを浮かべた男は「Kal Vas Flam」と一声あげると・・
威勢のいい掛け声を発して謎の物体に魔法を放っていた。
なぜか見てはいけない物を見たような、そんな気になった。
炎に包まれた謎の物体は確かにダメージを負っていた。
大きな衝撃に呆然としていた俺はその言葉にはっと気がつく。
エナジーボルテックス。 魔法の中でも最も高度な魔法に位置する魔法のひとつ。 疑う余地もなくこの男はメイジらしい。
そう言い放つと男は少し離れる。 俺はハルバードを構え直し謎の物体を牽制する。 一度、ハルバードを叩きつけるがやはり届かない。
次の瞬間、謎の物体の隣にエネルギーの渦が湧き上がる。 エナジーボルテックスは謎の物体を包み込もうとする。 だが、謎の物体はエナジーボルテックスを容易に消し去ってしまう。
豪快に笑いながら男は魔法の詠唱をはじめた。 俺はその男のサポートの為に謎の物体をひきつける。 魔法を浴びる謎の物体はたしかにダメージを受けていた。 これなら倒せるかそう思った時。
魔法は確かに当たっているように見えるだが、ダメージを受けなくなってしまっている。 さっきまでは確かにダメージを受けていたはずなのに。
そう言いながら牽制の為にハルバードで殴りつける。 ハルバードの刃はいつも通り見えない壁に・・・当たることはなく謎の物体を直撃する。
戸惑う、さっきまで全く届くことがなかった攻撃はいともあっさりと謎の物体に叩きつけられる。
そう言うと男はなぜか俺の前に立ち・・
謎の物体を挑発したかと思うと、その拳の一撃をお見舞いする。
どうにも納得できないまま、再び謎の物体の前に対峙した。
ため息をついた後、一呼吸してハルバードを構え謎の物体との間合いを詰めて殴りかかる。 刃はしっかりと謎の物体に叩きつけられる。
謎の物体との戦いは長期戦になっていた。 攻撃が当たったとしてもその身体はゴーレムのように硬くなかなか動きを止めようとはしない。 その動きが止まった時にはもう疲労感はピークに達していた。
男はそういうと豪快に笑いながら自分の筋肉を誇示していた。
もう言葉はなかった。
男と別れ街に戻った俺は謎の物体の情報を調査団の人間に伝える。 調査団もその存在を確認していて、その物体に対して「エクソダスオーバーシーア」という名称を付けたということらしい。 次に細工士に手に入れたクリスタルを見せると、これでゴーレムが完成すると喜んでいた。 王宮の細工士はすでにゴーレムの作成に成功したらしく、その鍵となるのがゴーレムに内臓されたこのクリスタルだそうだ。 これでゴーレムのさらなる研究が進みガーゴイルを救う兆しとなればいいのだが・・と俺は思いながら細工士の家を後にした。


エクソダス・オーバーシーア。 出現時は物理攻撃は無効。
一定量魔法でダメージを与えると魔法攻撃が無効(特殊反撃あり)
になり物理攻撃が通用するようになる。
無論、扇動・BS/EV・ペットKill命令(反撃はOK)不可