Piaキャロットへようこそ!!2

機種ジャンルメーカー発売日価格備考
Windows95ADVカクテルソフト97/11/217,800円18禁
サターンNECインターチャネル98/10/ 87,200円18推
DATA
ファミレスを舞台にした人気恋愛アドベンチャーのシリーズ第2段。パソコン版は制服や主人公名を一般公募してファンの期待を集めていた。サターン版は「同級生2」「同窓会」の移植を手がけた(有)スタックが開発を担当。移植発表がパソコン版のリリースから5ヶ月、同じくサターン版「〜1」(発売元はKID)が発売されてから2ヶ月、また移植発表から5ヶ月での発売というスピード移植だった。アンナミラーズ貸し切りの制作発表会も記憶に新しい。

STORY
高校最後の夏休みをファミレス“Piaキャロット2号店”でバイトすることになった主人公。初日からトラブル続きだが、それでも職場の女の子たちと仕事で寮でふれあい、忙しくも楽しいバイト生活の中で一人の女の子と急接近する……。

IMPRESSION
まず、同類の恋愛系ゲームの中では頭一つ抜きん出た完成度である。作画面は甘露樹、みつみ美里、CHARMというその筋きっての原画家を並べ、原画/CG共に高いレベルで仕上がっている。ストーリー的にはブランドイメージである“明るく軽快でちょっとエッチ”という路線の中でバラエティに富んでいる。またキャラ配置では各キャラの個性を付けながら同時に嫌みを感じさせない設定で、どのキャラにも馴染みやすくなっている。(これは簡単そうでなかなか難しいことだ)
Win版は描画が遅く、快適にプレイするにはPentium-133mhz以上といったある程度のマシンパワーが必要だったが、サターン版では描画速度は改善されており、また当然ながらどのサターンでも同じ速度で楽しめる。CGの発色の良さと高解像度CG、高速描画/展開はもはやスタックの十八番と言っていい。文章スキップと併せて1回のプレイ時間が1〜1.5時間と短縮されていることや、アルバムモードでは制服違いのCGが収録される事により無駄なプレイが避けられる点も嬉しい修正箇所だ。Hシーンも元々お色気程度の“あっても無くても”的な物なのでさほど支障はない。なにより新キャラ愛沢ともみが他の登場人物、シナリオ展開、雰囲気と違和感がないため非常に魅力的に仕上がっている。移植度120%の文句ない出来だ。

さて、本作の唯一にして最大の問題点はシナリオ内容にある。以下はネタバレを含む。“あずさシナリオ”を未クリアの方は読まないでほしい。


本作のヒロイン日野森あずさは冒頭主人公と“最悪”の出会いをし、誤解と意地の張り合いの末に主人公はあずさからはっきり嫌われてしまう。親友の真士があずさに好意をもっていると知りつつも、主人公はなんとかあずさとコミュニケーションを取ろうとし、結果あずさを意識している自分に気づく。意固地で主人公を邪険に扱ってはいたが、元よりあずさは“笑顔が似合う”明るい性格。何かと自分に接してくる主人公を無視しきれず、旅行先の夕暮れの海辺で感情を吐露する。和解した二人は急接近、デートもしてイイ雰囲気に。
しかし(ここが肝心なのだが)、しかしなぜか真士があずさに告白するや主人公は態度を豹変、相談されたあずさを突き放してしまう。後になって悔やむも時既に遅く、あずさは真士の告白を受け、研修旅行先のベランダで主人公に別れのキスをする。主人公はあずさを引き留めず、バイト明けの翌日真士に「あずさが好きだ」と打ち明ける。真士は身を退き、あずさは主人公の告白(と真士の思いやり)に泣きながら自分も主人公を「愛している」と告げるのだった……。

これが“あずさシナリオ”のあらすじである。だいぶ端折ったが要点は掴んでいるはずだ。さて、ここで問題にしたいのはなぜかの部分、つまり中盤での主人公の心変わりである。プレイヤーは当然ながらあずさとハッピーな関係になろうとゲームを進めているわけで、突然あずさを避ける主人公の思考が理解できない。もう少し細かく見ていこう。以下は8/20深夜、あずさに告白すると伝えた直後の真士との会話内容である。
 主人公「あ、真士ちょっと待ってくれ!!」
 真士 「?? どうかしたのか・・・?」
 (選択肢)「あ、いや、なんでもないんだ・・・」
 (独白) 別に日野森のことを好きな訳でも・・・
      ほんとにそうなんだろうか
      今まで日野森と一緒に過ごしてきた時間ていうのはいったいなんだったんだろう・・・
そして二日後に夜の公園での決定的なイベントを迎えるわけだが、ここまで続けてきたあずさへのアプローチとこの回顧に連続性がない、つまりあまりに突飛な展開なため余計にプレイヤーと主人公の同一性が薄くなっているのだと考える。
恋愛映画でラストが失恋や別れになる作品が少なくないことを見ても、ゲームでも悲劇的結末を迎えること自体には異論はない。2周目以降で展開が変わるなりすれば多少はファンの評価も違ってきただろうが……。ただどういう結末にしろ納得のいく“流れ”が必要になのだ。本作の主人公はまるで何かに憑かれたように女の子を振り、翌日には女々しいとすら言えるご機嫌伺いを再開する。これで男を許す寛大な女がいたら見てみたい。この“あずさシナリオ”は物語に特有のご都合主義を前面に出してしまった本作の致命傷である。他キャラのストーリーが無難にまとまっているだけに余計悔やまれる。