●原発の種類
現在、日本も含め世界の原発の主流となっているのは「軽水炉」というタイプのものである。「軽水」とは前回述べたように「普通の水」のことで、つまり「軽水炉」とは減速材として軽水を使った原発ということだ。このタイプはさらに「加圧水型」と「沸騰水型」の二つに大別される。
この他、主な種類としては黒鉛炉、重水炉、高速増殖炉などがあり、使用する減速材の種類、燃料、構造等で様々なタイプの原発がある。
下表に主なタイプのものをまとめておく。
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・ 種 類 ・ 減速材 ・ 燃料 ・ 原発の例 ・
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・ ・加圧水型・ ・ ・美浜など関西電力の原発・
・ 軽水炉 ・・・・・・ 軽水 ・濃縮ウラン・・・・・・・・・・・・・
・ ・沸騰水型・ ・ ・福島など東京電力の原発・
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・ 黒鉛炉 ・ 黒鉛 ・天然ウラン・チェルノブイリ原発 ・
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・ 重水炉 ・重水(注4)・ 〃 ・カナダの原発 ・
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・ 高速増殖炉(注3) ・ なし ・MOX(注5)・もんじゅ ・
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(注3)減速材は使用しないが、冷却材としてナトリウムを用いている。
(注4)水にも種類があり、普通の水より少しだけ重い水のこと。重水の方が
減速効果が大きいので濃縮していない天然ウランでも十分燃料となる。
(注5)ウランとプルトニウムの混合燃料。
尚、当講座では以下軽水炉について説明し、他の種類のものはこれ以上取り上げない。高速増殖炉などについて詳しく知りたい方は、前回記した文献を参照して欲しい。
●軽水炉のしくみ・・加圧水型と沸騰水型
始めに断っておくが、主流とは言え軽水炉が技術的にも経済的にも優れているという訳では決してない。昨今の事故等をみるまでもなく技術的にはもちろん、経済的にも未確立のまま、しかも軍事利用と表裏一体に建設、運転が強行されているということを念頭においていて欲しい。
では軽水炉−加圧水型・沸騰水型−について説明する。
テシステムの概略
右上に加圧水型原子炉と沸騰水型原子炉の概念図を示す。
それでは、よりシンプルな構造を持つ沸騰水型の方から説明しよう。炉心で発生した熱は原子炉容器内で水を沸騰させ、蒸気を作る。これをタービンに送り発電するといういたって簡単なしくみだ。しかし、炉心で放射能に汚染された水(蒸気)が、放射能漏れを防ぐべき格納容器の外に出る上、タービンまで汚染してしまうという致命的な欠点を持つ。放射能の封じ込めという観点からすれば、矛盾した構造と言える。

一方、加圧水型は原子炉容器内では沸騰しないように圧力をかけ(加圧器の役目)、発生した高温高圧の水(一次水)を蒸気発生器に送る。蒸気発生器の中には細いパイプ(細管と言う)が約3500本(蒸気発生器1基当り、出力によって違うが一つの原子炉に2〜4基の蒸気発生器を持つ)通っており、この中を原子炉からの高温高圧の水が通る。そしてパイプの外に流れている水(二次水)に熱を伝え、これを沸騰させて蒸気を作る訳だ。従って、沸騰水型と異なり放射能に汚染された水は設計上格納容器の外には出ない構造になっており、この点が加圧水型の利点とされている。
ト発電効率
原子炉の型にかかわらず、原発の発電効率は極めて悪い。電気出力で100万Kwと言っても実際に発生する熱はその3倍の300万Kwである。つまり、約30%の熱しか利用できない技術なのだ(火力発電は40〜45%)。残りの熱は温排水として環境に捨てられ、各地で熱汚染の問題を引き起こしているのである。
●主な事故の形態
日本でも美浜の蒸気発生器細管破断事故や福島の再循環ポンプ破損事故など大小の事故が頻発しており、米スリーマイル、旧ソ連チェルノブイリに続く破局は日本で起こるだろうとさえ言われているのが現状だ。
考えられる原発事故のシナリオはほとんど無数と言ってよいほどだが、主な重大事故としては次の3つが挙げられる。
◎暴走事故…核分裂のコントロールに失敗して出力が急上昇し、ついには爆発に
到るものである。加圧水型では制御棒の飛出し事故が、また沸騰水型では再循
環ポンプの故障などが暴走の原因として考えられる。
◎冷却材喪失による炉心溶融…炉心に水を送っている配管などが破断した場合、
炉心の冷却ができなくなると燃料が溶けてしまう。もちろんこうした事態に
対する備えはあるが、それが予想通りに機能するという保証はない。奇しく
も美浜の事故がこのことを実証した。
◎原子炉容器の破壊…原子炉容器は中性子の照射を受け時間とともに脆くなる上、
事故時の温度や圧力の急変などが加わることにより、常に破壊の危険性を秘め
ている。今後老朽化が進み、その危険性はますます増大する。しかし、万一の
場合の備えは何もない。
限られたスペースのため十分な説明はできなかったが、大まかな点はご理解いただけたものと思う。原発の技術とは、放射能を封じ込めるための技術と言っても過言ではない。しかし、人類はその技術をまだ獲得してはいないということを最後に強調しておく。