5.釉薬について

只今制作中にてご容赦ください
近日中にはアップ致します。悪しからず


【釉の役割】

 水漏れ防止・保護膜・強度・見た目の綺麗さ・

【主な釉の種類】

1.焼成温度による分類。

 低火度釉(軟釉とも言う。1200℃以下で熔融する釉薬、鉛釉、アルカリ釉、硼酸釉、フリット釉がある。)
 中火度釉(1250℃以下で熔融する釉薬。高火度釉の分類にする場合もある。亜鉛釉、バリウム釉、フリット釉がある。)
 高火度釉(1250℃以上で熔融する釉薬。通常の釉薬はこの部類に入る。長石釉、タルク釉、ドロマイト釉等。)

2.塩基組成による分類

 1.長石釉 2.石灰釉(通常の石灰釉は石灰マグネシア釉・石灰亜鉛釉・石灰バリウム釉) 3.マグネシア釉(タルク釉)
 4.亜鉛釉 5.バリウム釉 6.鉛釉 7.アルカリ釉 8.硼酸釉

3.外観による分類

 1.透明釉 2.乳濁釉 3.マット釉 4.結晶・分離釉(窯変釉) 5.貫入釉

【釉薬の材料】


【従来からの代表的な釉薬】

青磁・飴・天目・柿・黄瀬戸・織部・白萩・萩・海鼠・辰砂・灰(土灰・木灰・藁灰)・うのふ・均窯・志野・蕎麦・自然・天然・他

飴釉(あめゆう)
 鉄釉の一種で、透明釉に酸化鉄が5〜10%入った伝統的な釉薬のひとつである。にぶい黄色から赤褐色(俗に言う飴色)の透明光沢釉である。OFでもRFでも良いが、OFの場合は鉄分が少ないと黄色っぽい色合になり、多いと明るい飴色になる。RFの場合は、鉄分が少ないと緑っぽい色合で、鉄分が多いと黒ずんだ飴色になる。焼成温度はSK8〜9である。素地土は、ほとんどのものが使えるが、粗い土だとムラになる場合もあるが、逆に味わいとして使用することもある。粘土質の素地土だと、平淡な感じに仕上がる。
 マグネシア分が少し含まれると(通常の土灰を使用する)飴の色が深くなる。マンガンを添加しても色調は濃くなる。天目釉との違いは、飴釉は比較的石灰分が多く入っていて、天目釉はこれが少ない。

アルカリ釉
 アルカリ物質を使った低火度釉である。。珪酸にソーダ(ナトリウム)、カリ等を融剤として使用するが、これらは可溶性であるため、通常はフリットにして使用する。ソーダ釉ともいう。アルカリ釉に銅化合物が入るとトルコ青釉になり、アルカリが増加するほど色調は濃くなる。通常の釉では銅は緑色になるがアルカリ分を含んでいると青くなる。アルカリ釉にマンガン化合物が入ると紫色になる。これも通常の釉ではマンガンは褐色になる。アルカリ釉にコバルト化合物が入ると輝いた濃厚な青色を呈する。アルカリ硼酸釉に酸化鉄が入ると赤葡萄色になる。アルカリ釉をかたくするには、珪石またはタルクを入れると良い。フリットを使用しない場合は、非水溶性で強力なアルカリ物質である炭酸リチウムを使う場合が多い。

柞灰釉(いすはいゆう)
 通常の石灰系灰釉の一種であるが、柞灰は石灰分を多く含み、鉄分がきわめて少なく、燐酸分が多いために、有田等の磁器釉とか白いやきものに用いる白色透明釉に用いられる。焼くと透明性と白色性がたかく、表面にごく小さな柚子肌上の凹凸を作るために上絵付の絵具の付着も良い。しかし、天然の柞灰は高価であるために、合成柞灰も作られている。
 焼成は、磁器の場合はSK10以上である。鉄分がほとんどないために、OFでもRFでも可能である。磁器の場合はRFの方が白さが増す。
 
伊羅保釉(いらぼゆう)
 伊羅保釉は、古くから高麗茶碗にある釉薬で、釉肌がいらいらしているから名付けられた。伊羅保茶碗は種類が多く、千種、片身替わり、釘彫、黄伊羅保、黒伊羅保などの区分がある。また、後年対馬窯、釜山窯でも焼かれているし、中国製、南蛮製も混じっていると言われる。茶人の中では、井戸茶碗等と同じく、愛玩されている茶碗のひとつである。
 伊羅保釉と呼ぶものは素地土は荒い方が発色がよく、釉薬の薄いところは剥げて褐色になり、厚いところは玉状になったり、条痕を生じたりする。
 釉質は石灰分の多いアルミナマット釉の部類に入り、釉中の鉄分が細かい結晶となり、マット調を表す。昔は木灰に黄土や来待石を調合して作った。
 伊羅保釉は、通常の土灰釉の欠点(流れ、釉めくれ、貫入など)が生ぜず、しかも汚れにくく、硬いというすぐれた性質をもっている。
 普通、塩基剤は石灰を使うが、ストロンチウムやバリウムと置き換えて行くと色合が明るい橙味を帯びる傾向がある。また、銅の緑、コバルトの紺青、ニッケルの黄茶、紫などの伊羅保釉もできる。鉄分の含有量は、外割りで5〜6%である。焼成はSK8〜9で通常はOFであるが、RFでも問題なく焼ける。RFの方が色が濃くなる傾向がある。
 伊羅保釉は石灰の多い釉なので素地成分と強く反応するため、素地の選択が大切で、磁器土など駄目で、信楽土が最もよい結果となる。
 伊羅保釉は、釉の変化を出すために、かなり薄がけにする。通常は、比重30〜35程度で使用する。濃くなると、伊羅保特有の斑模様が出にくくなる。
 ストロンチウムを入れると条痕模様を美しくし、鉄や銅の呈色を鮮明にする
 蛍石3〜5%添加すると、鉄の呈色を鮮明にし、焦げの調子を良くする
 骨灰2〜3%添加すると、赤伊羅保釉ができる
 
卯の斑釉(うのふゆう)
 兎の斑釉、鵜の糞、糠白釉ともいい、瀬戸系の陶業で寛永(1624〜44)頃から始まったと言われている。斑唐津釉と同系統のものであるが、焼成温度がやや高く、斑唐津が柔らかい感じに対して、すっきりとした釉薬である。
 藁灰釉、白萩釉と同じく、珪酸質マット釉の部類に入るが、白萩釉よりも珪酸分が多い。特徴としては、珪酸質を取るのに、藁灰を使わずにモミ灰を使う点で、これにより、熔けきらない珪酸分が、気泡として釉中に残る。また、灰は微粉砕しないで、真っ白に焼かないで黒いままで使用すると、残った不完全な炭が比較的高温の釉が熔け始めてから燃えるので、その時に出る炭酸ガスで気泡が一層大きくなる。
 この釉は、珪酸物質が熔けきらずに白い斑点として残ったために、これを鵜の斑と称した。斑燐酸分を入れると、乳濁しやすくなる。なおこの釉は、亜鉛や錫、チタンなど乳濁剤を使用しないので、均一の乳白製品にならないで、ムラが出来やすいが、逆にこれが味になる。
 焼成はSK8〜9で、OFでもRFでもよい。素地土は、粗い土がよく、石ハゼ等の水簸していない土が面白い。特に、赤土系統のものは、面白い発色が出来る。

織部釉(おりべゆう)
織部釉は、もともとは、古田織部の意匠により、美濃の窯で焼かれた焼物の総称として使われていて、安土・桃山時代の瀬戸焼きの主流となるものである。黒織部(瀬戸黒)、黄織部(黄瀬戸)、柿織部(柿釉)、赤織部、絵織部(鉄絵)、志野織部(志野釉)、鳴海織部、青織部(織部釉)、伊奈織部、唐津織部などの釉薬や絵の具を使用したものである。このうち、青織部を今日、織部釉と呼んでいる。着色剤としては、酸化銅の他に、銅花、銅へげ、胆礬、真鍮粉、緑青なども使われる。最初の頃は、銅が貴重なために、部分的な使用であったが、だんだんと銅分である緑が多くなり、総織部釉(全体に織部釉がかかったもの)が出来るようになった。
 織部釉は、石灰釉、石灰マグネシア釉(灰釉)の透明領域に酸化銅を3〜5%添加した釉であり、酸化銅が透明釉に融けて一部は釉薬の成分と化合し、残りの銅分は細かい粒となって釉中に浮遊している状態により得られる色合である。
 酸化銅よりも炭酸銅の方が釉薬の中で銅分が分散しやすいので、炭酸胴の方が色合が美しいと言われているが、この場合は、モル比の関係で酸化銅よりも60%程度余計に入れなければいけない。釉は、やや厚掛けにしなければ緑が薄くなってしまう。またこの釉は流れ易い釉なので、注意が必要である。焼成はSK8以下、OFが絶対であるが、焼成方法として、還元焼成から酸化焼成に戻す焼き方と酸化焼成から1200度を越えた時点で還元焼成する方法もある。これは、銅分が発色してから還元にすると、素地と釉が熔化して深みを増すからである。
 素地土は、焼き締らない粗めの土が適している。五斗蒔土とか古信楽を使う場合が多い。焼き締る土を使った場合は、泡が出ることがある。
 なお、この釉は濃くかかった場所に油膜が付いたようなテカリが出来る場合があるが、この時は希硫酸、希塩酸、トチ渋(クヌギの実のヘタの部分を水に浸けて作った汁)等に浸けて置くと取れる。
 マグネシアが多いと、深い緑色になる。
 炭酸バリウムを入れると青みを帯びた色合になる。
 骨灰を微量(2%)入れると、銅分の結晶を押さえて、美しい色合になる。
 酸化チタンを2%入れると、黄色味を帯びた緑になる。多く入れると乳濁する。
 ジルコンを微量(2%)入れると、銅分の結晶を押さえて美しい色合になる。逆に多く入れると濁った感じの色合になる。

柿釉(かきゆう)
 柿天目とも言い、中国では北宋時代に磁州窯系の窯で焼かれていたものであり、柿の色をしているところから名付けられたものである。朝鮮の開城の古墳から見つかったことで有名になった。この釉は、焼成中に釉薬の中で鉄分が飽和状態になって、冷却の時にこれが吹き出て結晶質になったものである。黒天目釉とか来待釉、益子赤釉をRFで焼成すれば柿釉になる場合もあるが、現在ではチタンを少量加えてRFで焼成する。焼成とか冷却の具合で結晶の大きさが変わり、鉄砂釉になる場合もある。
 焼成は、SK8、RFが基本であるが、OFでも柿釉になる場合もある。釉は、やや厚がけにするが、厚くかけても流れることは少ない。しかし、厚すぎると釉がめくれたり縮れたりすることがある。この場合は、来待石や赤粉を素焼きしたものを釉に混ぜ合わせるとよい。素地土は、粘土質のものが安定しているので良いが、別にこだわらない。ただし、素地土によって釉薬の色合も変わってくるので素地土の選択も吟味が必要である。特に赤土を使用する場合は、注意が必要である。

黄瀬戸釉(きぜとゆう)
 黄瀬戸釉という名前がいつ頃付けられたのかは不明だが、瀬戸窯で釉が出来た頃から造られていて、桃山時代に完成された。その頃は、鉄分の多い土灰と比較的鉄分の多い長石とで作られていた様である。一説には、青磁を焼きたかったのだが、そのころの窯では還元焼成が出来なかったのと、灰類を多く使い、長石分が少なかったので青磁にはならずに黄瀬戸になったと言われている。また、この頃は還元焼成が上手く出来なかったために黄瀬戸釉になったとも言われている。
 黄瀬戸には、ぐいのみ手、あやめ手、菊皿手の三種類がある。ぐいのみ手は比較的釉に光沢があり、いわゆるビードロ肌である。あやめ手は、ツヤが少なく、表面がざらついており、いわゆるあぶらげ肌である。菊皿手は、すこぶる光沢が強く、貫入は微細で黄色が鮮明である。
 黄瀬戸釉は、桃山時代になって釘先で引っ掻いたような刻文の部分に胆礬(天然の硫酸第二銅)と呼ばれる銅釉がぼかされて配置しているものが出て来る。最初は銅は貴重品だったため、斑点に過ぎなかったが、銅の産出の増加に伴い、多く使用する様になった。
 黄瀬戸釉は、通常の長石分の少ない灰釉に鉄分を2〜4%入れてSK8〜9で酸化焼成すればできる。素地は、鉄分の少ない粘土質陶器素地を用いて始めて得られる。通常は土灰を混ぜて作るが、石灰でも同様にできる。灰類が多く、長石分が少ないのが特徴である。なお、マット状のあぶらげ手は、藁灰、酸化チタン、骨灰またはジルコン等を入れて、乳濁させることにより出来る。しかし、少し温度が上がると透明釉になり、非常に温度範囲の狭い釉である。
 施釉は、薄めにすると艶消の状態になりやすく、また施釉の釉だれの濃い部分に光沢が出て、趣のある釉調になる。しかし、薄すぎると茶色く焦げてしまう。安定した艶消を出すには、最初伊羅保釉を薄がけして、更に黄瀬戸釉を薄がけする2重がけにする方法もある。
 焼成は、上昇をゆっくりと行い、冷却は早くした方が良い。

志野釉(しのゆう)
 志野釉は、織部、瀬戸黒と同様に桃山期に美濃地方で焼かれたものでり、その当時の織部釉の一種である。当初は白織部または志野織部と呼ばれていた。また、志野の釉薬は長石釉と呼ばれ、風化長石単味で使っていた。しかし、現在では志野釉に適した長石はほとんど取り尽くされてしまい、桃山期の長石に近づけるために、カオリン、木灰等を加える場合もある。これは、桃山期の長石には、カオリン質が含まれていたためである。
 なお、志野釉は「もぐさ土」と呼ばれる独特の焼き締らない素地土で作るのが最良とされ、この土は1%程度の鉄分を含んでいるために、極端な徐冷によって緋色を出すことが出来る。現在では良質のもぐさ土はなくなってしまったので、代用として五斗蒔土を使う。
 志野の絵付は、鬼板を使うが、これを薄く化粧掛けしておいて志野釉をかけ、緋色を出す場合もある。鬼板を使わずに、直接釉薬に紅柄0.3%と食塩2%を加え、紅志野釉にする場合もある。
焼成方法は、950度付近から還元にして、1200度までゆっくりと温度を上げて、1250度まであっさりと焼くと緋色が出やすい。いずれにしても、長石単味の場合は、なかなか釉が溶けてくれないので、ゆっくりと温度を上げる必要がある。また、極端な徐冷にする必要がある。壁厚の薄い窯では、火を焚きながら温度を下げる方法がとられる

白萩釉(しらはぎゆう)
 藁灰釉、卯の斑釉と同じく、珪酸質乳濁釉である。釉の起源は、秀吉朝鮮出兵の際に毛利公の道案内をした、帰化朝鮮人李敬の創始と伝えられている。斑唐津も全く同じ手法である。白萩釉は、一般に卯の斑釉よりも珪酸分が少なく、そのために、薄掛けした部分に淡黄色、淡紅色の箇所が表われる。これは、酸化焼成のために、素地の中の酸化鉄が揮発して釉に熔け込んだものと思われる。(モミ灰は100%近く珪酸分だが、藁灰は70%程度の珪酸分なので、差が出て来る)焼成はSK8〜9、OFである。

辰砂釉(しんしゃゆう)
 銅を還元焼成すると、第一銅に変化し、赤色の呈色になる。これを辰砂釉と呼んでいる。中国では、明代に完成され、斎紅釉、郎釉、積紅釉、櫨均窯釉、均窯等と呼ばれている。色によっても区分され、桃花片、牛血紅、火炎青等の種類がある。日本では全てをひっくるめて辰砂釉と呼んでいる。特に、ツヤのあるものを辰砂釉、乳濁したものを鈞窯釉と分ける場合もある。
 辰砂釉は、2%程度の酸化銅と一緒に酸化錫を4%程度入れる。これは、錫が揮発した銅を吸収するとともに、還元作用を補足するためである。銅が3%を越えると赤く発色しなくなる。
 焼成は、鈞窯釉と同じで950℃付近から還元に入るが、最初は還元を強めにして、1050℃くらいからは弱還元か中性焔くらいが良い。1200℃を越えると、中性焔にする。SKは8〜10までである。素地土は、焼き締る粘土質の白土か磁器土が辰砂が均一に出やすいので良い。粗い土だと、釉が途中で止まるために、奇麗に発色しない場合がある。また、赤土を使用した場合は、鉄分の影響で奇麗な赤色にはならず、紫っぽい色から、くすんだ色まで変化する。
 サヤの内側に布海苔で溶いた辰砂釉を塗って、その中に作品を入れ、銅の揮発性を利用してサヤの中をまんべんなく銅のガスで充満させて、鮮やかに発色させる方法もある。
 辰砂が赤く発色しなかった場合は、もう一度焼き直す場合もある。900℃に温度を保持し、酸化焼成で3時間ほど焼成すると、発色が良くなることがある。鉄分を微量入れるか、土灰釉を使用すると、鉄分の関系で、色合が青紫色になる。
バリウムを微量入れると、紫色を帯びる
 鉄分をほとんど含まない原料で、なおかつ顔料を仮焼して使用すると、鮮やかな濃紅色になる。
 二度がけして、下釉には銅を含まない釉、上釉に銅を含む釉をかけると、鮮やかな色合になる。
 還元剤として、炭化珪素(カーボランダム)を使用する事がある。炭化珪素は、SK9付近で分解して炭素と珪素になる。この時に、炭素が燃えて酸素を取るので釉の中の銅分は還元作用を受ける。素地に炭化珪素でを2%程度加えた化粧土で模様を描き、1100℃程度で焼き付け、その上に辰砂釉を掛けてSK9〜10で酸化又は中性焔で焼成すると、炭化珪素の所だけが還元されて赤色となり、その他の部分は青藍色になる。辰砂釉に炭化珪素を混ぜたり、釉に振り掛けたりしても同様の効果がある。この場合、炭化珪素1、酸化錫1、炭酸銅0.3の混合物を用いると更に効果的である。ただし、炭化珪素は微粉末を用いらなければいけない。炭化珪素を入れすぎたり、温度が低かったり、焼成時間が短いと、泡が出て、色も褐色になる。長すぎると赤色が消えることがある。

青磁釉(せいじゆう)
 青磁釉は、中国では殷代に灰釉陶器として現れるが、この時代のものは焼成が完全に還元に出来なかったために、鈍い草色になっていて、まだ青磁釉の名前もない。唐代になって浙江省を中心とした越州窯で大量に焼かれるようになった。越州で作られたものは、釉色も整い、色も淡い緑色に近づいており、この青磁釉を越州釉、または古越磁と呼んでいる。中国では、これを青瓷と呼んでいる。ここから宋代にかけて青磁釉も発達していき、北宋代に至って官窯、汝窯、耀州窯、龍泉窯等で完璧な青磁が生産されるようになった。中国では、元来ヒスイの青色を目指して青磁釉を作ったとされているが、宋代の青磁が一応の頂点になった訳である。その後、元代になると材料の枯渇と治安の乱れから完全な青磁釉はだんだんと少なくなっていく。青磁は、その後近隣諸国に伝わっていき、朝鮮、安南、タイでも個性的な青磁釉が出来ていった。
 一口に青磁釉と言っても、多種多様であって、中国でも、竜泉窯、汝窯、耀州窯、均窯等の青磁は全て微妙に色合が違う。また、同じ竜泉窯でも、時代によって色が変わっており、南宋時代は汝窯に近い色合で藍味の強い感じの砧青磁、その中でも、乳濁した青味の粉青があるが、時代が元代から明代に移るとオリーブ色に近い、天竜寺青磁になる。
 また、青磁でも貫入のあるもの、ないものとがあり、汝窯、郊壇窯などの官窯には貫入が入ったものが多く、この官窯が後の貫入の語源とされている。また、砧、天竜寺、耀州窯、などには貫入はあまり入らない。
 青磁釉は、基本的には酸化鉄が微量入った釉薬を還元焼成する事により、第一鉄に変わって青い色を出す。青色を濃く出す場合は、何度も重ね塗りをして釉を厚掛けにする必要がある。これは、釉中の泡や熔けきらずに残った結晶分が光線の屈折、乱反射を多くするためである。また、鉄が第一鉄になるのであるから、最初から珪酸鉄を使った方が釉の安定が良い。
 色に深みを出すために、塗り重ねる釉薬の鉄分の量を変えたり、釉薬の配合を変えたり、あるいは乳濁の具合を変えたりすることもある。
 珪酸鉄は市販品を使えば良いが、色合は安っぽくなる。もし、自分で作るのであれば、紅柄47、珪石53の配合物をよく細磨して、一度1300℃で還元焼成し、更によく細磨して作る。配合は自分なりに工夫すれば良い。
 砧青磁(青っぽい青磁)は、アルカリ分が多いと出やすいので長石を多く入れる。また、バリウムやストロンチウムを加えると、より一層青色が鮮やかになる。しかし、入れすぎると「ブク」が出やすくなる。また、酸化錫を1〜2%加えても青みが増す。これに対し、天竜寺青磁(緑っぽい青磁)は、石灰分を多くし、酸化クロム、酸化マンガンを0.05%程度加える。
 焼成は、RFが絶対であり、OFでは色が青くならないで、米色青磁(淡いクリーム色)になる。温度は、磁器土の場合はRF10くらいまでだが、鉄分の入った土とかb器質の土の場合は、温度が高いと素地土が持たないので、低めの温度で焼成するのが望ましい。
 貫入を出すには、石灰分を多くして、磁器釉から陶器釉に近づけていけばよい。また、素地をb器質のものにすると貫入が入る。素地土に鉄分を入れると素地が焼き締らなくなるので、貫入が出易くなる。貫入に褐色の色がついている物は、釉に燐酸鉄を少量入れると出ることがある。また、焼成後すぐに紅柄汁に浸けて出す場合もある。

石灰釉(せっかいゆう)
 石灰釉は、長石に石灰石を混ぜただけの単純な釉薬で、透明で艶がある釉薬なので、全ての釉薬の基礎となる釉薬でもある。広い意味から言えば、木灰を使った釉薬も石灰釉の中に含まれる。しかし、最近では原料としての名前として使われる。この釉をベースに色釉を作ったり、乳濁釉を作ったりする。たとえば、鉄を2%程度入れてOFだと黄瀬戸釉、RFだと青磁釉になる。8%程度で飴釉になり、10%以上で天目釉になる。
 石灰釉が日本で使われだしたのは比較的新しく、明治になってからのことである。その頃は、長石と石灰石を杓あわせで作っていたので、未だに1号石灰釉(長石5に対して、石灰を1入れた釉薬)、3号石灰釉(同じく石灰を3杯入れた釉薬)とかの名称で売っている。安価で出来るし、無色透明で艶があり、また貫入が入りにくく、流れにくく、釉の安定性が良いので、広く一般的に使われている。焼き締らない土の場合は比較的石灰を多めに入れ、焼き締る場合は長石を多めにする。したがって、1号石灰釉は磁器用に用いられ、3号石灰釉は陶器用に用いられる。
 また、土灰釉が灰だてと呼ぶのに対し、石灰釉は石だてと呼ぶ場合もある。なお、長石も石灰も沈澱しやすく、一度沈澱して固まったらなかなか元に戻らないので、沈澱防止剤を入れた方が安心である。
 石灰釉の配合に長石や陶石を必要とするのは色々と意味はあるが、アルミナ分を取ることも一つの目的である。そして石灰釉の基準的配合成分は長石、石灰石、カオリン、珪石の四つである。

天目釉(てんもくゆう)
 中国の、宋代建窯等で作られた鉄質黒釉で、この茶碗の多くは天目山の仏寺の常什であったものを我が国の僧侶が持ち帰ったと同時に、喫茶法をも天目山の霊場から得て来たために、この碗を天目と呼ぶ様になって、後に釉薬自体を天目釉と呼ぶ様になった。なお、天目と呼ぶのは我が国だけである。一言で天目釉といっても、建盞天目、曜変天目、油滴天目、玳玻盞天目、禾目天目等多種多様の種類がある。
 山陰地方の来待石、京都の加茂川石、瀬戸の鬼板、関東地方の芦沼石や益子赤粉等である。益子赤粉は単独で使うと柿釉になる。
 現在の黒色顔料を使った黒釉と違い、縁先が飴色又は柿色になるし、釉の薄いところも同様に変化が出来る。また、温度によって、釉中の鉄分が結晶として熔けだし、油滴、玳玻盞、禾目などの天目釉に変化する。天然の含鉄土石には鉄の他にマンガン、チタン等を含んでいるため、紅柄単味で使うよりも複雑な色合になる。焼成は、SK8〜9でOFで釉をやや厚がけにすると通常の天目釉となり、釉薬を薄く掛けてRF焼成すると褐色釉となる。天目釉には褐黒色と紺黒色とがあるが、使用する釉にマグネシア分が多いと紺黒になる。
 通常の石灰釉に鉄分を入れただけでは飴釉にしかならないが、これにマグネシアと長石、カオリンを入れていくと黒釉に変化する。なお、天目釉にアルミナ分を入れると柿釉になり、柿釉に珪酸分を入れると鉄砂釉になる。

瑠璃釉(るりゆう)
 瑠璃釉はフランスのセーブルブルーが有名である。また、日本では香蘭社が同様の色を作っている。普通の磁器釉にコバルトを1〜3%添加して作る。
 長石分が少なく、石灰が多い方が美しい色合になる。
 マグネシアや亜鉛は色が薄くなり、逆にストロンチウムやバリウムは色合を良くする。マンガン、鉄をほんの少し入れると色が暗くなり、コバルトよりもマンガンを多くすると紫色に近くなる。
 コバルトの量を多くするほど色が濃くなる。
 コバルトを20%入れて徐冷すると、コバルト結晶釉ができ、濃い瑠璃釉にピンクの結晶が析出する。
 コバルト1%と酸化銅5%で青緑の明るい色になる。
 コバルト1%と酸化鉄5%で黄緑のにぶい色になる。
 瑠璃釉にマンガンを3〜5%入れると、紫みが多い色になる。
 瑠璃釉に酸化クロムを2〜3%入れると、緑がかったマット釉になる。
 瑠璃釉に骨灰、藁灰等の乳濁材を入れると、瑠璃なまこ釉になる。
 
藁灰釉(わらはいゆう)
 藁灰には、7割程度の珪酸分と、その他の成分を持っている。この珪酸分は、珪石と違ってはっきりとした分子配列をもっていない。そのために他の成分との化合をしやすい。特に、乳濁作用については、珪酸質乳濁作用を最も現わし易い原料である。また、灰分に焼けきらなかった炭素が、比較的高温での釉が溶ける際に燃えるので、この時に炭酸ガスを発生し、このガスが泡になって、乳濁作用を大きくする。この為に、昔から多くの釉薬に使われており、白萩釉、斑唐津釉、海鼠釉、卯の斑釉、さらには均窯釉、月白釉などにも使用されている。藁だけでなく、稲科の植物はすべて珪酸質を多く持っており、稲、麦、とうもろこし、竹、すすき、笹、羊歯等がある。一般に、茎よりも葉、葉よりも実が珪酸質が高い。だから、卯の斑釉などはモミ灰とかヌカ灰を使用する。均窯釉、月白釉とか斑唐津には羊歯灰を使用する。これも、羊歯の中の珪酸分が熔けずに残った物が斑になって出た物である。
藁灰釉は、亜鉛、チタン、錫などの安定した乳濁剤ではないので、均一には出にくいが、逆にこれが味わいにもなる。
 最近は、骨灰を乳濁剤にし、藁灰釉に似た釉薬が作られている。これは、藁灰の良質のものが手に入らなくなってきているためである。合成藁灰もそのひとつである。
 藁灰釉は、アルミナ分が少なくて珪酸分が多いと乳濁しやすくなる。マグネシアを含むとより乳濁しやすくなる。また、亜鉛華を少量添加すると、いっそう安定した乳濁が得られる。
 焼成は、OFでもRFでも良いが、RFの方が素地土の影響を受ける。温度の範囲も広いのが特徴である。温度は、各材料の比率でも違ってくる。釉は厚掛けの方が味わいがある。薄いと透明になる場合もあるので、注意が必要。
 なお、藁灰釉、唐津釉、白萩釉は、同系統の釉薬で、一般には藁灰釉が最も藁灰の占める割合が多く、次に白萩釉、唐津釉の順であるが、長石、土灰の混合により変化するので、一概には言い切れない。

参考ページ・リンク

市販の釉薬のあれこれ】【釉薬のはなし】【陶芸用釉薬

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