笠間悠友窯 つつみ庵工房編

笠間市福原悠友窯
第五回焼
平成12年6月22日〜26日

 今回の焚きは今までより一日伸ばして4日間の焼成を予定している。22日(木)夜9時過ぎに窯到着、すぐに準備開始。この頃になると作業も手馴れたものでそれぞれが分担して作業が進んでいく。今回の詰めは奥をしっかり詰め込んで、灰被りに高さのある大物を左右に配置した。転がしもいくらかは置いたが、それほどの期待はなかった。脇くべによる灰の掛かりがどうなるかがポイントとなっている。尚、今回引き出しも試してみようということで、色見穴に近いところに作品を配置してみた。
 作業は6時間近くかかったりしっかりした棚組みができたが、口を閉じてバーナーに点火したのが午前4時をまわってしまった。作品の量にもよるが最近は時間をかけて詰めることの重要さがだんだんと解って来たものだが、やはり明け方になると疲れが出てきて最後のほうは妥協気味になってくる。詰めのスケジュールに余裕も必要か。

 

 バーナー点火後火足が落ち着くまで、暫く調整をしながら定番のお湯割りの補給。落ち着いたところで順次休息に入る。一日目は丸一日が焙りなので余裕がある。後日を考えて休めるときに体を休ませておく。

 午後8時(16)に210度になったところで薪の投入を開始する。薪の燠が溜まるまで暫くはバーナーも併用。午前零時(20)前の524度時点でバーナー停止。午前4時(24)には823度と順調に昇温し、9時(29)には1000度を超えた。

 

 1000度から1100度迄は4時間後の午後1時(33)に1110度と順調に上がるが、これから1100度台が延々と続くことになる。午後10時(42)に1195度に上がるが、その後1130度まで下がり午前4時(48)に1148度になった時点で思い切って木ブタを実施する。この時点でポイントAの熱電対が焼き切れ以降の温度データは取れなくなったが、ポイントBは健在なので助かった。どうやら隙間から炎が漏れていたらしく、保護管と金属部分を残して灰になってしまっていた。修理できそうに無く勿体無い事をしたとともに以後は差し入れ方に気をつけて設置すべきと再認識させられた。
 木ブタにしてから2時間後(50)にようやく1196度と持ち直しそれからは1225度(54)迄すっと上がった。この間の午前8時(52)1205度の時点でSK9が完到したのを機に予定していた初めての引き出しを実施する。その後(53)には脇くべも開始した。下画像真中の作品が引き出しのうちの一つ。急冷により透明感のある鮮やかな緑系の自然釉が特徴的で、十分に灰がかかり垂れも出ていた。

 さて1225度からまたしても停滞期がやってくる。一時は1200度まで下がり1210度前後のまま時間だけが過ぎる。午後7時(63)に思い切ってバーナーを併用してみた。酸化気味に燃焼するせいかこれから2時間後に1257度、午後11時に今回の最高温度の1265度に達する。薪も残りが乏しいこともあり午前零時(68)過ぎに今回の焚きは終了とした。

測定ポイントAは天井部分の手前側で燃焼部位の真上あたり。測定ポイントBは右側面奥側の真中より高い位置。

 今回の焚きのまとめ

 今回は69時間弱と過去最長の焚き時間であった。最高温も1265度と満足の行く結果が得られたが熱電対の焼失により手前の温度データが得られなかったのは残念だ。今までの焚きのデータによると、手前の温度のほうが先行して高くなっていたのに今回は160度の時点で焚口他を締め切ったせいで逆転している。その後710度位で再逆転して奥が低めになる。焙り段階では通常水分を逃がす意図から色見穴や焚き口を開け放ってきたが、閉じることで窯全体の温度が均一化されることが確認できた。1000度まで28時間強とやや時間がかかっているので、この部分での改善でもう少し効率的な焚きができると思う。1100度を越えた時点で停滞する時間があるのは、燠と窯の雰囲気により避けられないものなのか?。ここでもう少しうまく焚ければいいのだが。1200度以上の温度帯では少しの油断で温度が上下する。燠の状態と薪の位置やタイミング及び量をコントロールしながらくべる必要がある。引き出しはまずまずの成果だったが棚の作品に自然釉がどのくらいかかっているかが注目点だ。熱電対は痛かった、これから当分は一本で我慢。
 全体として納得がいく焚きに近づいてきた感があるのは私だけか??。



 窯開けは7月1日(土)に行なった。何度やってもワクワクする窯開け。今回はどんな焼き上がりだろうか。夜9時過ぎに窯に到着してすぐに入り口を開け始める。まず目に飛び込んでくるのは手前の灰被りにオブジェなどの大物。思ったほど窯変が出ていないがまずまずの自然釉だった。又画像ではわからないが、焚き口前の真中に偏壺を寝かせておいてあるのだが、初期から燠の中に埋まってしまったせいで温度が上がらず窯変も出ずダメ焼。


 手前の棚の作品の火表にはそこそこの自然釉がかかっていたが、赤系の粘土の作品はテカリが出て自然釉が胎に溶け込みやすいことがうかがえる。引きの強させいか、全体にゴマは少なく、左右より真中の作品に釉の量が多かった。皿は相変わらず火表の縁にのみ釉、焼き締まりはいいが窯変などはなく面白くない。一番上の作品の器の見込み部分に灰が降るかとも思ったが全然少なく、引きと棚詰に工夫が必要だと感じた。


 奥の棚の作品も似たようなものだが狭間穴付近のものはタップリかかった釉が熔けて下まで流れている作品があり、上の作品は火表の上部にのみ自然釉がかかっている。やはり焼締めとしては信楽土の白系統があっているのか、赤系統は焼けすぎの感がある。今回緋色用に作った簾文花器は温度のせいか緋色が出ていないが、自然釉がかかり垂れもあるなどまあまあだった。

 全体としてよく焼けてはいるが窯変などの変化に乏しく、自然釉も熔けすぎ。色気は酸化気味か白っぽく、もう少し緑系統がほしかった。緋色は温度を上げすぎると焦げ色になるようだ。

  今回の焚きの成果と課題

 今回の1265度という最高温と70時間近い焼成時間は未知の体験であったが、おかげで窯の性能と癖などが段々分かってきた。窯詰の工夫と窯焚きの工夫により狙いをもった窯が焚ければ理想だが、まだまだテストの域を出ていない。脇くべなどをもっと早めにして燠を山の様に溜めることで窯変に変化が出るのではないか。



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