神殺し〜新たな仲間〜
「ふ〜ん。その等々力とか言うヤツは、鮫島とか言う男の下へ向かったっちゅうことか」 由佳と鬼武の喧嘩が鎮火したところで羅刹はパイフーからこれまでの経緯を聞いた。 ゲノムと遭遇し、等々力の手によって難を逃れたパイフーと鬼武は、彼の運転する車でこの処理工場にやって来た。 「後のことは自分たちで好きにするんだな・・・・そう言って行っちまったぜ」 鬼武は由佳に背を向け押し黙ったままである。由佳もそっぽを向いて黙っている。 「等々力は鮫島と一緒におる可能性があるわけやな。なんや結構探す手間が省けそうやな」 「探す?俺たちだけじゃなく等々力と鮫島にも用があるのか?つうか、大体あんたたちは何者よ? それに俺たちに何の用なんだ?」 ようやく口を開いた鬼武が聞いた。 「説明すると長くなるさかいに、どっから説明したろか迷うわ」 「私たちは神殺しウル一座の仲間。私の名前は由佳。こっちの関西人は焔 羅刹。 ゲノムを倒すためにあんたたちの力が必要なのよ。それで探してるの」 「ゲ、ゲノムってあの・・・・」 パイフーの身の毛が張り詰める。 「戦った事あるんやったら、もう分かるやろ。あのバケモノを始末せなあかんのよ」 「でも待てよ。あんなバケモノ相手に俺らが居ても意味無いぞ。むしろあんたらの方が強いだろうし」 鬼武が言った。 「その強い連中がやられよったんや」 「やられた!?」 「No,3の魔矢、それにNo,2の紅。二人ともゲノムにやられた。あの二人はもう戦えんのや」 「あの二人が・・・・」 パイフーも鬼武も頭の中で魔矢と紅の実態を浮かべた。鬼武に居たっては魔矢にも紅にも会った事は無い。 しかしパイフーはあの二人が自分たちの住居を訪れてきたのを経験している。 リアル世界で起こった20人殺しの主犯「神殺しウル」に惹かれ、やってきた魔界で そのウルよりも下のランクに位置する魔矢と紅だったが、その強さは二人が思っている以上に強大であった。 無論、パイフーにしろ鬼武にしろ、その実力は常軌を逸しているが、それでも上には上がいる。 魔界に来た事を後悔している訳じゃないが、考え方が甘かったと思う節があるのもまた事実だった。 ウルにしろゲノムにしろ、ここまで強大な連中がうろつく世界だと分かっていれば、魔界には来なかったかも知れない。 「事実上、戦えるのはワイとあんさんたち二人。そして等々力、鮫島を含め、そこにウルを加えた6人しかおらん。 ワイが思うに、ウルとワイだけじゃゲノムを倒せるとは思えへん。そこであんさんたちの力が欲しいっちゅうわけや」 「つまり仲間になれと・・・・そういう事か?」 「ま、そんなとこや」 パイフーの質問に羅刹が答えた。 「俺らはそんなつもりで来たんじゃないんだけどな〜」 「要するに怖いんでしょ?ウルとゲノムが」 「んだとっ!このアマ!!」 犬猿の仲、由佳と鬼武の戦闘開始である。 「誰がビビってるって!?」 「あんたよ。良い?この魔界に住んでいて俺たちは関係ありませんなんて通用すると思ってるの? ここに来た以上、ランクの低い連中は上級ランクの言う事に従うのがルールなの」 「コノヤロー、俺たちが低レベルだと言うのか!?」 「そうでしょ。あんたたちはNo,5。でも羅刹はNo,4なのよ」 「そ、そうなのか?」 パイフーが羅刹に聞く。 「まあ一応そういう事になっちょるね」 「そうかいそうかい!だけどお前は俺たちよりも下だろうがっ!」 「当たり前でしょ!私は女!戦えません」 羅刹 「い、いや・・・ある意味魔界No,1は由佳ちゃんやと思うで・・・」 パイフー 「うん・・・俺もそう思う」 「それでもこうして関わっているでしょ。私だって魔界の住人だから」 「ぐう・・・生意気な女だぜ!!」 「いずれにしても命懸けの喧嘩になるけどな。無理にとは言わん。せやけど来てくれるんやったら助かるわ。 魔矢の言ったとおり、どうやらごっつ強そうやしな」 「俺は構わねぇぜ。きっと神殺しのウルにも会えそうだし。何よりあのクソモンスターをぶっ殺すのは大賛成だ。 あのクサレモンスターにはやりたい放題やられたからな!!その借りは返さねぇと気が済まねぇ!! パイフーが両拳を床に叩きつけた。そこに小さなクレーターが出来た。 「だってよ、どないする?鬼武はん」 「どうするって言われてもな・・・パイフーが行くなら行くしかないわけで」 「じゃ、決まりね。車の準備してくるわ」 由佳はそう言うと出て行った。 「それにしてもあんたがNo,4ねぇ、正直そんな風には見えないが・・・・。それを言うと紅も同じか」 美貌の紅を思い出し、パイフーは口をつぐんだ。見かけで判断できないのが魔界である。 「刀持ってるって部分では鮫島と一緒だな」 鬼武がそう言うと 「なあ、鮫島のとこにも行くんだろ?」 とパイフーが羅刹に聞いた。 「勿論や。なんや?問題でもあるんかいな」 「こいつと鮫島仲悪いんだよ」 「ほう〜鬼武はんと由佳ちゃんみたいなもんかいな」 「あのヤロー、ムカつくぜ!!」 「まあせやけど、今回だけは嫌々でも協力してや。さっき由佳ちゃんが言ったように、あんさんたちは自分たちの意志で 魔界に来たんや。自分たちだけ知りませんは通らんで。等々力も鮫島も同じやけどな」 「ケッ!分かってるよ」 「んで、その等々力はどこ行ったんや?」 「あいつは鮫島をリアル世界に無事生還させるのが目的の一つだからな。今頃多分魔界の鍋蓋に向かったんじゃないか?」 「まだ魔界の鍋蓋におるんか?」 「いや、等々力の話では鮫島が本当に茨木童子が死んだかどうか確かめたいって言い出して 戻る前にもう一度魔界の鍋蓋へ行くって言ってたぜ」 鬼武がそう説明した。 「ほんじゃ、決まりや。次の目的地は魔界の鍋蓋や」 パイフー・鬼武と言うツワモノが加わった。 END |