8 「神殺し」〜血を吸う聖魔刀。刀に魅せられた人斬りの素顔〜
永久の無「ゲノム」がこの世に蘇った頃、一人の男が魔界に到着していた。 男は腰に聖魔刀と呼ばれる邪悪な刀を携えており、黒い服装を装っている。 黒いジャケットの背中には「聖魔」と書かれた刺繍が施されており、通常の人間でないことは明らかだった。 「まったく、情報屋から魔界への道を書かせたはええけど、こんなごっつ遠いとは思わんかったで」 男の名は「羅刹」つい今しがた魔界へ辿り着いた新参者である。 「それにしても物騒な世界やな〜死体がゴロゴロあるやないか」 羅刹の歩いている道には殺人鬼によって殺された人間の死体が山のように転がっていた。 無論、それが蘇った「ゲノム」の仕業である事は知る善しも無いが・・・・。 「あかん、腹減り過ぎて死にそうやわ・・・」 羅刹が向かっている先は魔界の中心部。ウルを始め、紅や魔矢、鬼武やパイフー、鮫島たちが生息する地区である。 勿論、当の羅刹は右も左も分からない状況なのだが、殺人鬼が殺人鬼を呼ぶのだろう。 羅刹の足は自然と中心部へ向かっているのである。 それでも羅刹は自らに忍び寄る狂気には気付いていた。先ほどから誰かに付けられている気配を感じている。 それも一人や二人ではない。数にすれば数十単位の人数になるだろう。 「ええ加減出てきたらどうや?おるのは分かってるで」 羅刹がそう言うと、有に30を越す殺人鬼たちが至る所から現れた。 「なんや偉い歓迎ぶりやな。そないワイが来たの嬉しいんか?」 「馬鹿を言うな!お前、誰の許可を得て魔界に来た!?」 「入るのに許可なんて要るんか?面倒な世界やな〜ワイのスマイルで十分やろ」 そう言うと羅刹は冗談交じりでニッコリと微笑んだ。 「この中心部へ続く通称「死神通り」は我らが主、魔矢様が仕切っているエリアだ。勝手に通る事は許さん」 「魔矢?ああ〜そう言えば情報屋から聞いた名前やな〜あかん、ど忘れしてもうた」 「魔矢様はここ魔界でNo,3の座に着くお方だ」 「ああ〜そんなんゆうてたな。よう知らんけど」 「貴様!!」 一人の殺人鬼がそう吠えると、他の殺人鬼たちは持っていた武器を取り出し、身構えた。 「ほほう〜ワイと遊ぼう言うんか、ええよ。ちゃんと手加減したるから」 「小僧・・・・かかれ!!」 一番最初に飛び掛ったのは10人。どの殺人鬼も羅刹の上空に舞い上がり、上から攻撃を仕掛けようと飛び上がる。 しかし、聖魔刀を操る羅刹に取って、上空は自らが支配する絶対的な領域である。 「聖魔刀・・・暫!?」 「ぐはああっ!!」 「ぎゃあああっ!!」 羅刹が刀を振り上げた瞬間、刃が奇妙に変化し、上空にいた殺人鬼10人に斬りかかった。わずか一瞬で10名の首が宙を舞った。 「い、今のは・・・・」 「聖魔刀は便利な刀や。地上からの攻撃、上空からの攻撃、真正面、背後、斜め上、下。 その角度によって自らの意志で変化する頭のええ刀や」 多勢に無勢・・・そんな言葉など当てはまらない状況がそこにあった。 「な、なんなんだ、お前は・・・」 「ケケケ、神殺しのウル言うやつがおるんやろ?その首取りに来たんや」 「バ、バカな!!ウ、ウル様の首を・・・・そんなこと出来るわけが・・」 「ああもう面倒や、死ね」 「えっ!」 「うぎゃあああああああああっ!!!」 目の前で閃光が走った瞬間、聖魔刀はまたもやその姿を変え、生き残っていた20人に襲い掛かった。 刀は津波のようにうねり、殺人鬼たちの身体を歪曲しながら切断して行った。 30人の殺人鬼たちを殺すのに要した時間はわずか40秒だった。 「あかん!腹減ってると手元が鈍るわ!こりゃはよ何か食べんとヤバイで」 殺した殺人鬼たちなど気にする様子も無く、羅刹はひたすら歩き、一軒のバーらしき店を見つけた。 店の前には「本日のおすすめメニュー北京ダック」と書かれている。 「あったあった!良さげな店やんか!!大人な雰囲気がええね〜インテリジェンスなワイにピッタリやん!」 羅刹、実にユニークな男である。 「邪魔するでぇ〜!」 「いらっしゃいませ」 中から若い女の声が響いた。カウンターの裏に日本風な美女が立っており、羅刹を迎えた。 「うひゃああっ!めっちゃ好みや!!可愛ええやんか!なあなあ、名前なんて言うん?」 「えっ!あ、あのう・・・由佳と言いますけど」 「由佳ちゃん!!ええ名前やんか!」 羅刹はそう言うと身を乗り出し、由佳の手を握った。 「ええな〜ええな〜若い子は。お肌ツルツルや〜」 「あ、あのう、困るんですけど」(^^;) どうやらこの羅刹と言う男、相当な女好きのようである。 「由佳ちゃん、何歳?二十歳くらい?今度ワイとデートせえへん?絶対損はさせへんよ」 空腹は一体どこへ行ったやら・・・・。 「え、えっと・・・歳は21歳で、そのデートはちょっと・・・・」 「ええ〜なんでやねん〜彼氏おるん?」 「まだそう言う関係じゃないですけど、そうなりそうな人が居るには・・・」 「どこおる!?昼間っから彼女に寂しい思いさす甲斐性なしの男はどこにおる!!」 「ええっと、実は貴方の後ろに・・・・」 「えっ?なんやて」 羅刹が後ろを振り返ったその時だった。 「おわっ!!」 突然目の前で巨大な光が走った。それが銃弾である事はすぐに理解できた。 「甲斐性なしで悪かったな」 そこには魔矢が立っていた。 「なにすんねん!ワレ!死ぬとこやったぞ!!」 「当たり前だ。殺す気で撃ったんだからな」 「なんやと、この金属男!!」 羅刹は魔矢のオリハルコン・オロチを見てそう言った。 「金属男・・・?・・・フフフ・・・」 「何笑ってんだ、由佳」 「金属男って、なんか表現がおかしくって」 「ヘヘン、笑ってくれたで。ワイの勝ちやな」 そういう問題ではないと思うのだが・・・・。 「死神通りで俺の手下を殺ったのはお前だな、焔 羅刹」 コイツは自分を知っている。しかし羅刹はその事には驚かなかった。何故ならこの男こそが魔界No,3の魔矢だと分かったからである。 「へぇ〜ワイの事知っとるんか。お前が魔矢やな?」 「一応な。山村組惨殺事件に関西の野山組殺害事件の犯人は貴様だろ、羅刹」 「エライ詳しいやんけ。お前何者や?」 「これでも警視総監と言う仕事をしていてな。貴様の起こした事件のせいで、俺の苦労が増えちまった。 ギネスブックに名を連ねる犯罪を犯したのは結構だが、あまり魔界で良い気になるなよ」 「フン!ワイはNo,3なんて興味無いんや。神殺しのウルさえ殺れればそれでええねん」 「貴様がウルを?・・・・身の程を知らんようだな」 「確かめてみるか?お前のその身体で」 「後悔するぞ、鬼眼の魔矢を敵に回したことをな」 「上等や!!」 「あのう、やるなら外でやってね。店壊されちゃ商売上がったりだから」 聖魔剣士vs鬼眼 いよいよその戦に灯がともる・・・・。 END |