ポートレートを撮る際に被写体を際立たせるため、背景をボカすのは基本のテクニックの1つだろう。「背景ボケボケが良いわけではない」と銀塩の世界に長くいる人は言うが、これができる/できないで表現できる世界に差が出るのは確かだ。一般的なデジタルカメラの場合ポートレートの距離で背景をボカすことは非常に難しく、デジカメ使用者のボケへの憧れは強い(私はそう、すぐにボカしたがる)。
ボケない理由が撮影面であるCCDの面積に因る以上、無いものねだりをしているのも策が無い。この点が逆に利点となることもあるはず。
背景がボケない、ということは逆に考えれば、どこにでもピントが合っている(ように見える)と言い換えられる。これが大きく役立つケースとしてマクロ撮影が挙げられる。被写界深度の浅いフィルムカメラがマクロでピントを合わすのはナカナカ難しいが、デジタルカメラでは液晶を見ながら簡単に合わせられる。やはり、背景のボケまでを表現とするケースでは苦しいところはあるが、被写体にピントを合わせる、という点においてはマクロ撮影ではフィルムカメラを上回る点があろう。
逆にボカす必要の無い被写体、即ち遠景撮影等ではフィルムとデジタルのカメラに大きな違いはなく、やはり被写界深度の深さにおいてデジタルカメラの方が有利と言えるところもあるのではないか。ただし、遠景撮影においては細部の描写力がポイントとなるだろう、画素数の少ないカメラではフィルムカメラ相手には苦しいところ。(もっとも高性能なレンズを持って来られたら、どんなデジカメもひとたまりも無い)
ここまでは言わばパンフォーカスカメラにも置き換えられる話しでもあるが、デジタルカメラには「撮って、すぐ見られる」という大きなアドバンテージがある。つまり、フィルムカメラでは簡単には挑戦しにくいような写真にも取り組むことができるのだ。夜景撮影やロングシャッター撮影がその範疇に入るか。どちらも確認したときに出来が良くなければ、何度でもトライできる、という意味でやはりフィルムカメラを大きく上回る魅力があると言えるだろう。
こう並べてみて、気付いた方はおられるだろうか。入選したこの写真、これまでの条件にピッタリなのである。風景写真であること、逆光気味で明暗差が激しい被写体であること、といった点が当てはまると思うが、画素数の少ないところに関しては、被写体を大きく写すこと、あまり細部が必要無い被写体であること、でカバーしているつもりである。いや、本人そこまで考えて撮ったのか、定かでないが・・・
おかげさまで「デジカメ閑話」も今回で50回。記念といってはナンだが、私のデジカメに対するスタンスを披露させてもらった。ん、卑陋と言う方が正解か?
'00.06.09