排ガス規制/低公害バス


排出ガス規制について

低公害バスについて


排出ガス規制について

近年、「環境保護」が日本の社会的問題として話題となっているが
、中でも大気汚染、以前から特に自動車の排気ガスに含まれる有害
物質などの割合はかなり高いとされてきた。日本では環境庁が昭和
45年頃より、すでにアメリカで実施されていたマスキー法という
大気清浄法をもとにして排出ガス規制に取り組み、昭和51年に普
通乗用車の規制を実施する運びとなる。ところが、このときバスや
トラックは技術面などの問題で見送られることになり、暫定規制値
での処理となった。しかし、昭和54年には大型自動車にも本格的
に採用されることになり、バスに関しても同年より正式に排ガス規
制の実施となった。昭和54年の排ガス規制からディーゼル車の形
式名の先頭にK−等の記号が付く。その後、規制が厳しくなるにつ
れてP−,U−,KC−,KK−などが登場し、現在に至る。近年
登場している低公害車のCNGバスは燃料そのものが軽油と異なる
ためか、特別にNE−となっている。

記号 意味 適合製造年
K− 昭和54年排出ガス規制適合 昭和54年〜昭和58年
P− 昭和58年排出ガス規制適合 昭和58年〜平成元年
U− 平成元年排出ガス規制適合 平成元年〜平成7年
KC− 平成6年排出ガス規制適合 平成7年〜平成12年
KK− 平成10年排出ガス規制適合 平成10年〜
KL− 平成12年排出ガス規制適合 平成12年〜



低公害バスについて

ディーゼル車は、排ガス規制の強化が進む一方、少しでも公害を低
減させるために様々な努力が重ねられている。昭和61年に運輸省
は燃料にメタノールを使用したメタノールバスの走行実験を実施し
た。これはディーゼルエンジンの一部を改良して、軽油の代わりに
メタノール燃料を使用したもので、NOxと黒煙の低減に効果を示
したが、実用上の問題とコストなどの点で現在のところ実用化には
至っていない。平成2年にはLPガス(液化石油ガス)と軽油を併
用したLPG併用ディーゼルバスの実験を実施した。一部の公営バ
スで在来車の改造により実用化された。実験では黒煙を43%カッ
トでエンジン性能もほとんど変わらなかったが、NOxの低減に関
しては効果が得られなかったため、その後は普及していない。平成
3年からはディーゼルエンジンに発電機モーターを内蔵した電気式
ハイブリッドバスを日野自動車が開発、平成4年より普及している。
また平成5年からは三菱自動車が、平成7年からは日産ディーゼル
といすゞ自動車が蓄圧式ハイブリッドバスを登場させている。ハイ
ブリッドバスと並ぶもうひとつの低公害バスとして、燃料に圧縮天
然ガス(CNG)を使用したCNGバスがあるが、これはエンジン
に通常のディーゼルとほぼ同じものを搭載し、燃料にCNGを使用
する。平成3年に日産ディーゼルが東京ガスなど3社と共同開発し
て、翌4年に実用実験、平成5年にはいすゞ自動車も開発、平成8
年より実用化が実現している。また、平成10年からは三菱自動車
もCNGバスに対応している。

(1)電気式ハイブリッドバス
ディーゼルエンジンに発電装置兼モーターである三相交流機を内
蔵し、車のブレーキによる減速エネルギーを電気エネルギーに変
えてバッテリーに充電する。そして充電された電気エネルギーは
発進・加速時にモーターを作動させて加速補助する。発進・加速
時はディーゼルエンジンに電気モーターのパワーが加えられるが
このうちの約半分のパワーを電気が受け持つ。このため、発進・
加速時のNOxが約30%、黒煙は約70%の減少で排出ガス低減 
とともに騒音も抑制し、低公害と低燃費に貢献する。
日野自動車が平成3年に「HIMR」[ハイマー]の名で開発して
同年末より 一部の公営事業者などでモニター走行を開始、その
後、改造形式扱いで運輸省より特別認定を受けて平成4年から普
及し始める。平成6年、実用車としての安全性や信頼性などが認
められ、ハイブリッド車としては国内初の形式認定を取得し、大
型路線車HT/HU系のシリーズに含まれて正式発売されている。
また、平成9年からは観光・高速車用の「セレガ」にもインター
クーラー付ターボエンジンを搭載した高出力仕様の「HIMR」
を登場させている。
(2)蓄圧式ハイブリッドバス
電気式ハイブリッドバスが制動力を電気エネルギーとしてバッテ
リーに蓄えるのに対して、制動力によって窒素ガスを圧縮し、ガ
スの圧力によってエネルギーを蓄えるのが蓄圧式ハイブリッドバ
スである。基本的には主な動力にディーゼルエンジンを使用し、
補助的に他の動力を使うのは電気式ハイブリッドバスと同じであ
る。蓄圧式には「制動エネルギー回生システム」と呼ばれ、これ
は車を止める時の制動力を利用して油圧ポンプを作動させ、油圧
によって窒素ガスを圧縮することにより、圧力としてエネルギー
を蓄え、その蓄えられたエネルギーは発進・加速時に窒素ガスの
圧力よってポンプを回してエンジンの駆動力を補助しようという
ものである。発進・停止を頻繁にくり返す路線バスは発進時が最
も多く燃料を使い、排出ガスも多く発するが、このシステムを使
えば燃費を節約できるとともに排出ガスの発生も抑制することが
できる。これにより、従来のディーゼル車と比較して、NOxは
約30%、黒煙は約70%の低減を実現している。
三菱自動車が平成5年に運輸省より試験自動車としての認定を受
け「MBECS」[エムベックス]の名でデビューさせ、一部の
公営事業者などで実用試験を開始。平成7年には正式認定となり、
これに伴い改良がおこなわれ、新たにアイドリングストップ機構
と酸化触媒内蔵マフラーを装備して「MBECS-2」として
市販が開始された。そして平成9年からは、フルモデルチェンジ
したニューエアロスターのシリーズに含まれて、さらなる改良が
されて「MBECS-3」に移行している。この蓄圧式は三菱以
外でも開発されており、平成7年には日産ディーゼルが蓄圧式ハ
イブリッドバス「ERIP」[エリップ]を、またいすゞ自動車も
ほぼ同時期に蓄圧式ハイブリッドバス「CHASSE」[シャッセ]
を、いずれも公営事業者などを中心に導入されている。日産ディ
ーゼル、いすゞともに基本的な仕組みは三菱と同じである。
(3)CNGバス
ハイブリッドバスと並行して低公害バスのもうひとつの実用方式
として開発されたのが圧縮天然ガス(CNG)を燃料とする
CNGバスである。この方式の場合、エンジンは圧力調整装置や
ミキサーの内蔵などの小改造を行うものの、通常のディーゼルエ
ンジンの構造とほぼ同じであり、燃料に従来の軽油に代わり
CNGを使用するというものである。現在のところ、実用化して
いる低公害バスの中では最も優れており、NOxの排出量が
約70%、黒煙は100%の低減を実現。つまり黒煙に関しては
まったく排出されないのである。CNGガスを蓄えておく高圧ガ
スボンベを床下もしくは屋根に搭載している。ところで、この
CNGバスは登場当初、低公害には優れるもののガスボンベの材
質が鋼製しか認可されてなかったため、床下にしか搭載できず低
床化が進められなかった。しかし、平成10年に高圧ガス保安法
の改正により軽量容器の使用が認められ、アルミやプラスチック
にカーボン繊維などで補強して軽量化したボンベを屋根上に搭載
することが可能となった事に伴い低床化も実現している。
平成11年には低公害と高福祉の両方を実現したCNGノンステ
ップバスも登場している。CNGバスは、平成5年に日産ディー
ゼルが東京ガスなど3社と共同で開発、翌6年末から一部の公営
事業者などで実用試験を開始、また平成7年にはいすゞ自動車も
CNGバスを開発、そして平成8年、日産ディーゼルといすゞの
CNGバスは正式認定を受け、市販の開始となった。
後の平成10年からは三菱自動車もCNGバスに対応となってい
る。
(4)アイドリングストップ&スタートシステム
路線バスは都市内を走行する際、信号や交通渋滞などによって運
行時間の約半分をエンジンをかけたまま、つまりアイドリング状
態で停車しているといわれる。この停車中にエンジンの作動を止
めて排出ガスを減少させる目的で開発されたのがこのシステムで
ある。バスが停止する際、乗務員がクラッチから足を離すとエン
ジンが停止する。走行する際はクラッチペダルを踏み込むと自動
的にエンジンが再始動し通常のバスと同じように走り出す事がで
きる。乗務員が信号や渋滞などの道路状況などによってスイッチ
によるシステムを作動か非作動かを切り替えられるようになって
いる。走行するその時の道路状況にもよるが、都市部では
約5〜10%のNOx低減と燃費の改善効果が認められたという
。平成6年にいすゞ自動車がオプション設定、後の平成7年から
8年には他メーカーもオプション設定。構造的に複雑ではなく、
取り付け費用も比較的安価なためか普及している。
(5)黒煙除去装置
平成7年に一部の公営事業者に黒煙除去装置(DPF)付きのバ
スが試験運行を開始した。セラミックフィルターなどを使用して
熱することなどによって粒子状の物質を除去する。環境庁とバス
製造メーカー、日本自動車研究所が共同開発を行なったものであ
る。黒煙はほぼ100%、粒子状物質も80%の除去が可能とな
ったが、一方では一酸化炭素、窒素酸化物を抑制するのが困難で
あることやコストなどの面で現在のところ普及までには至ってい
ない。