元兵士が語る戦争の真実C

語り部として
56年に帰国。北海道の三井鉱山砂川鉱業所の事務員として働き、結婚。人の子の親となり、一家の大黒柱となりました。そしてつくづく知ったのです。平和がいかに大切か、人の命がいかに尊いものかを。  「その幸せを感じれば感じるほど中国での悪行が思い出されてね。深い悔恨と良心に責められました」  中国帰還者連絡会(02年解散、事業は「撫順の奇蹟を受け継ぐ会」に)北海道支部副支部長を務めます。それでも体験は家族にも話せませんでした。しかし、執拗な改憲の動きに軍靴の音を聞きました。  黙っているわけにはいかない。10年前から中学校や高校で加害体験を語り始めました。勇気のいることでした。  「よく決意されました。立派なことです。ぜひ続けてください」。作家の三浦綾子(故人)からの手紙です。三浦さんは、高橋さんの通った神威(かむい)尋常小学校で教えていました。  余生は語り部として送りたいという高橋さん。  「中国やアジアを侵略し、殺したという歴史的十字架を、子どもたちをはじめ日本国民に背負わせてしまったのです」  いつもそう思いながら語る高橋さん。涙がとまらなかったことも。多くの感想が寄せられています。宝物だといいます。  「語り部になって私の本当の人生が始まりました」  その言葉は重い。