2×2=4を平仮名で書く子
Wは2年生にしては体が大きく元気な子どもだったな。真冬でも靴下もはかないで半袖シャツ1枚で平気な子どもだった。ドッジボールや
運動が大好きで、この子が元気ないときは気持ち悪いぐらいだった。
そんな彼がシュントして元気のなくなるのはいつも算数と国語の時間だったな。なにしろ2年生になっても平仮名が読めない、一桁の足し
算ができない・・・・。太めで大きな可愛いい指を使って3+3等の計算をしようとするのだが、2の次が3、3の次が4であることも忘れ
て出てこないのだ。教えると「あー、そうや!」と大きな声で言うのだが、次にはまた「えーと?えーと?」と声が段々小さくなって出てこ
ない。そんな彼の様子をみているのはつらいものがあったな。国語の教科書は一字一字指で押さえて拾い読みするのが精一杯、それでも「る」
と「ろ」の読みは、2年生が終わる頃になってもよく間違えていたな。
秋の遠足のときだったかな。1日中彼のそばを離れず、歩いているときに九九の暗記をさせる決心をした。2×2=4、2×3=6と何百
回繰り返したろう?次の日に書かせてみたら、「ににんがし、にさんがろく、・・・」と2の段全部平仮名で書いてきたのには驚いたな。覚
えたことを褒めながら、「2×2=4」と書けるようにするのが、また一苦労だったな。
1年生のときの先生からの申し送りでは、特殊学級への入級を進めたが、凄い勢いで拒否されたとのこと。Wの母親とは何回も何回も話し
あった。両親は「そのほうが幸せになれるのなら、力がつくのなら・・・・」とやっと特殊学級入級を了解された。3年生から彼は国語と算
数は特殊学級に通うことになった。そしてめきめきと力をつけてきていたのだが、中学校に入るとき、両親はどうしても普通学級に戻ること
を懇願されたと聞いた。彼にとって普通学級で中学校生活をおくることがどんなに辛かったことか・・・。中2〜3の時、何度も補導された
と聞いたときはたまらなく悲しかったな・・。