| 火龍の作品 |
焼け付き・・・焼け付き・・・剥がれない掌(てのひら)の跡 双子というものは元々一つだった魂が二つに分かれた・・・ そういう解釈は昔からあったらしい・・・ なら・・・俺たちはどうだろうか・・・ 双子ではない・・・しかし、運命が分かれ 同じ人間が二人いる 双子でもないのに だから、運命はその矛盾の修正に乗り出した それがあの男、ゾウディアックだ あいつは言った、「覚悟はできているか?」と 正直・・・出来てなどいなかった いや、してはいた ただ、全てではなかった 『俺』の妻 その写真を見た時から 俺は・・・ どうしていいか解らなくなった あいつには家族がいる 悲しむ相手が・・・いる 覚悟を決めて地下迷宮へと向かった その先に『俺』が待ち構えていた そして、俺に言った 「コピーはお前の方だ」と 死刑宣告を受けたような気がした 俺は本当に俺なのか? いや、必ず・・・ 俺は必ず生きて帰るんだ リアと生まれてくる子のためにも 必ず ようやく二人のディーン=アルムが揃った 後はあの二人がどのような選択をするか それだけだ 選択肢は一応全ての結果が見えている お互い殺し合いをするか、僕に立ち向かって僕の意図に気がつくか ・・・一つに戻すか 過去に戻して一つに戻すことも可能だ ・・・最も、それではリアや子どもの存在まで消えてしまう 一番ベストな方法は・・・この現在で一つに戻ることだが・・・ そうするためには結局一人に死んでもらわないといけない・・・ ただ、存在が否定される訳ではない・・・ その人間が存在したという証はしっかりと残る さて、どうなるのかな・・・ かつて、双子の物語を読んだことがあった その双子はお互いを愛しく思っていた しかし、何時かは必ず別れる日が来る それを恐れていた双子はあることをした 一方がもう一方の首を絞めて殺した その跡から紅い色の蝶が姿を現し 生き残った方の首に止まった その片割れの首には紅い蝶の形の痣が一生残った これでずっと一緒だよ、一つに戻れたよ・・・そう喜んでいたという 残酷で美しく、美しくも恐ろしい物語 何故、この物語に強く惹かれたか・・・今ならよく解る 俺は・・・必ず家族の元に帰るんだ そう思っていた ゾウディアックに俺が本物であるという確証を得るために しかし、俺は今、何をしている? 俺は・・・ 「さあ、早く続けるんだ」 ゾウディアックの声が聞こえる 俺は、ジェフの首に手をかけていた 「・・・お前は家族と共に生きていくことが出来る ・・・俺も生きていた証明が残る。そして一つに戻れる」 「ジェフ・・・」 「かまわない」 ジェフが俺の耳元で囁く 「殺してくれ」 その言葉を聞いた時、俺の中での何かが失われ 夢の中にいるようだった 眼に見えていても、その情報を脳が処理しないというように・・・ ジェフの首を絞めようとするのを止められなかった 脈を感じるのに、暖かいのに、明らかな骨の凹凸を感じているのに 止まらない・・・いや、止めたくなかった どうして止める必要がある? ようやく一つに戻れるのだから だから・・・ 早く、早く、早く・・・ 死んでくれ・・・早く ・・・いつの間にか眠っていたようだ 折角の休日なのに・・・仕方が無い、午後は子どもとしっかり遊ぼう 日の当たる窓辺から光の届かぬ廊下へ移ったとき ディーンの首の痣が一瞬濃くなった それはまるで、紅い色をした蝶のようだった |
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